

釜山の魅力をタイムリーに伝えるフリーペーパー『釜山びより』(季刊発行、日本語、日本と釜山で配布)を手がける桃井のりこさん(プロデューサー、編集)は、韓国の中でも釜山を最も愛する自称「勝手に釜山PR大使」だ。創刊号(2009年6月)から今年で6年目。10年11月には、釜山の観光事業への貢献を評価され、釜山広域市より表彰された。さらに、3月には姉妹版の『大邱びより』を創刊。1年間の約半数を釜山で過ごすという、ワッタカッタ生活は続く。
魅力を日本人の眼で
ふらっと訪ねるきっかけに
現在、釜山で発行されている他のフリーペーパー(日本語)は3種類、大邱では『大邱びより』が唯一の情報誌になる。桃井さんが誌面作りでこだわるのは、対象者である日本人が違和感なく読める綺麗な日本語を使うこと。「フリーペーパーの中には、文章が少しおかしいというのもある。捨て去られていくフリーペーパーだからしょうがないとしても、そうなりたくない。綺麗に作っていれば、価値ができるから」
もともと旅行好きだった桃井さんは、旅行に特化した編集プロダクションを設立し、20年以上、編集者として日本国内、韓国を含む海外の旅行関係の媒体を制作してきた。
初訪韓は92年。釜山は96年を機に4回訪れた。「7年前、一人で行った時にソウルで感じる人情よりも深いと思った」。釜山に惹かれた最初の理由だ。当時、釜山を単体で紹介するガイドブックはなく、個人で『食楽美磨 釜山の旅‐カラダが喜ぶ!キレイが光る!』を作る。
出版社ソッポならば自分で
出版に向けて、出版社を回って持ちかけたが「ソウルはいいけど釜山は」と、つれない返事ばかり。その後、日本出版社の社長と知り合い、やっとの思いで刊行(09年)にこぎ着けた。その後も出版社に行っては、断られ続けた。「それだったら自分で作ろうと思って始めたのが『釜山びより』」
行動派の桃井さんが、最初に向かったのは釜山市だ。「こういうフリーペーパーを作りたいと相談した」。同市からスポンサー協力(メーン広告)をもらいスタート。
桃井さんの手がけたガイドブック『わがまま歩き 釜山・慶州』改訂版も13年12月、実業之日本社から発売された。現在、多くの釜山関連のガイドブックが出版されている。それらとの違いについて桃井さんは「タイムリーさ」だと即答した。
通常、ガイドブックは3年に2回のペースで改訂されので、情報は古くなる。「やっぱり思い入れが違うのと、両方の観光事情を見ている私が、日本人の観点で作っていること。日本人の趣向や興味もその時々で変わってくるから、自分がフレッシュな感覚じゃないと」
一方、『大邱びより』は、大邱市と韓国観光公社から「自分たちも作りたい」という話しから始まった。桃井さんは両誌以外に、他社のガイドブックのコンテンツを手がけたり、日本でマッコリのPRをしたりと大忙しだ。「広告営業も全部、自分でやっているから大変ですよ」と言いつつ、その表情は生き生きしている。
1日発行の『大邱…』秋号では、郊外にスポットを当てた。「大邱の旅でリラックスしませんかということで心や身体に効く、観光スポットを中心に紹介している」
桃井さんには、頑張る自分の姿を見せたい人たちがいる。在日韓国人男性と結婚した妹夫婦の子どもたちだ。「今は違うけど最初は『あそこの家、韓国人』と言う人たちもいた。多分、甥たちも嫌な思いをしたと思う。でも私が韓日を行き来しながら仕事をすることで、何かを感じてくれたら嬉しい」
現在の韓日関係については「個々の関係には大きな支障はないと思う。実際、日本の方が来てみると『反日というより、皆さん親切で驚いた』という声も聞く。私がしていることは微力ですが、韓国に行ってみようかなというきっかけの一つになれば嬉しい」と話す。
今度は韓国の人たち向けに、自身の故郷である札幌を案内する『札幌びより』(韓国語版)を15年1月初旬に発行する。
読者プレゼント
『大邱びより』秋号を読者10人にプレゼントします。はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を記入の上、〒106‐8585 東京都港区南麻布1‐7‐32 民団新聞社「読者プレゼント」係。25日必着。当選者のみ郵送。
(2014.9.10 民団新聞)