


国民的画家、李仲燮
離別も 補い合って
劇団文化座(東京・北区)は、新宿梁山泊を主宰する金守珍さんとの初共同作品『旅立つ家族』を10月3日から13日まで、東京芸術劇場シアターイースト(豊島区池袋)で上演する。韓国の国民的画家、李仲燮の半生を描いた、劇団現代劇場代表で劇作家の金義卿さんの代表作を金さんが演出。文化座代表の女優・佐々木愛さんは、李さんの日本人妻、山本方子さん(92、東京都在住、韓国名李南徳)の現在を演じる。佐々木さんは「国境を超えた2人の愛がどれだけ尊いかということを、お芝居だからこそ、伝えたい」と話す。
文学座は1942年に設立された、新劇界で2番目に古い劇団。佐々木さんが、金さんとの初コラボレーションを希望したのは、近年の演劇界で気になる存在だったからという。昨年、同座機関紙の新春対談で初対面を果たした。
今回、佐々木さんに金義卿さんの戯曲『旅立つ家族』を紹介した金さんは「金先生の作品はたくさん読んでいたが、この作品はまさに韓日の間のできごとです。仲燮の2人の子どもたちは日本で成長している。在日としては大変、興味のあるところだった」と作品選定の理由を語った。
植民地時代を知って欲しい
仲燮は、韓国では教科書で紹介されているほど有名だが、日本ではあまり知られていない。佐々木さんは初めて戯曲を読み「非常に骨太な作品ですね。韓国の男性と日本の女性の愛の物語ですが、市民の間ではそういう繋がりがいくらでもあったわけで、そこを描けば何かできるんじゃないかと思った」と話す。
佐々木さんが、金さんにあえてお願いしていることがある。植民地という時代がわかる演出だ。「その時代の仲燮さんの手紙を見たら、あんな立派な日本語を書けること自体がおかしいのです。でも、日本では若い人たちも含めて、植民地時代というのがよく分かっていない。だから芝居を通して、こういう時代だったということが分かればいいですね」と思いを語った。
金さんは、今作で新しい仲燮という人物を浮かび上がらせるという。また、仲燮との結婚に反対することなく、渡航費用などの資金を工面して、娘の方子さんを元山に送り出した父親のシーンも新たに加えたと、演出について説明した
1951年1月から11カ月間、仲燮が家族とともに生活したのが済州島の西帰浦だ。家族で暮らした住居の近くにある「李仲燮美術館」には、作品や方子さんとやりとりした手紙が展示されている。
金さんは「喧嘩もしているんです2人は。すごく怒っている手紙を送ったり、すねてみたり」。でも2人は「お互いになくてはならない関係。足りない自分を埋めてくれる人だったと思う。それは愛なんですよ」。
佐々木さんは父親で演出家の故佐佐木隆さんから「自分の人生は一度きりしかない」ということを言われてきた。
「この舞台を観た方たちが、一度きりの人生だと思ったら、もっと人を愛さなきゃとか、もっといろいろなことを理解しなければということを思ってくれたらいい。そして、心の奥底が震えて、生きて行く原動力になっていただけたら一番嬉しい」 Проекты домов Z500 http://z500proekty.ru/doma/tag-doma-iz-kirpicha/tag-odnoetazhnie.html в Москве
最後に金さんは「方子さんのご家族が、この舞台を観て幸せになってほしい、そうしたら仲燮さんも生き返るんです」と話した。
一般5500円、Uシート4000円(平日のみ)、高校生以下2750円。上演時間は要確認。
チケット申し込み・問い合わせは同座(03・3828・2216)。
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妻子と再会の夢も空しく
ものがたり 李仲燮は植民地時代の1916年、韓半島で生まれた。幼い頃から絵を描きはじめ、牛や大地に根ざしたものに惹かれていた。35年、日本に留学。東京帝国美術学校、文化学院美術科で絵を学んだ。同院在学中に山本方子と出会う。解放間近の45年、仲燮の実家がある元山で結婚。方子は李南徳として生まれ変わり、2人の子どもを授かる。だが、妻子の健康状態が悪化、南徳と2人の子どもは日本に帰し、創作活動を続けた。日本にいる妻子と暮らすことを夢見ながらも叶わず、失意のうちに心身を病み、56年に39歳の生涯を閉じた。
(2014.9.24 民団新聞)