

時調の会、民団直選中央委員、MINDAN文化賞「詩歌」審査委員
金一男
教養と和合の基盤に
同人ら25年の努力実結び
ソウルでの「時調生活」誌100号記念式典(10月16日)に参加しました。
「時調生活」(主宰=柳聖圭医学博士)は、韓国の伝統定型詩「時調(シジョ)」の結社のうち、現在最大の団体。ペンクラブ関係者など来賓の祝辞は、いずれも、時調生活同人たちの25年にわたる持続的かつ精力的な努力の結果、100号刊行の達成に至ったことへの驚きと称賛を表明するものでした。
式典は120人を超える関係者が参席して盛会でしたが、なかでも10人ほどの小中高生徒、大学生の姿が目を引きました。つい最近行われた「白日場」と呼ばれる競作大会での受賞者たちでした。
競作の大会は120回にも
同誌は、同誌の目指す「時調生活化運動」の一環として、大学などの講堂を借りて小中高生、大学生にテーマを与えて作詩させる行事をすでに120回施行しています。1回の行事には平均90人ほどの学生たちが参加しています。時調のすそ野を広げる作業は、若い人々の間に着実に浸透してきたと言えます。
会場で、自分の作品が掲載されている分厚い「時調生活」を開いて読む小学生の女の子の誇らしい顔が印象的でした。彼女ものちに受賞者として表彰式に立ちました。
なお、同誌は同人たちの季刊詩集のほかに「童時調集(児童詩集)」も毎年刊行しています。
この会の持続的な努力はまた、昨年2013年10月、春川での「第1回世界定型詩人大会」にも結実しています。
この大会には、日本はもちろん、中国、ネパール、モンゴルなど、世界8カ国の詩人たちが招かれました。180人の詩人たちの集まりと交流の様子は壮観でした。
春川の大会では世界定型詩人大会第2回大会を中国で開くことが決議されていましたが、今回の100号記念式典に参加した世界伝統詩人協会中国本部代表は、演壇でのスピーチで、第2回大会を来年5月に中国で開催すること、立派な大会として成功させることを力強く約束していました。実用的な簡体字文化に埋もれてきた伝統漢詩文学復興への、中国詩人たちの決意をうかがわせるものでした。
出会いがたき師とよき友ら
私がこの結社に正会員として加わってすでに8年になりますが、私はこの会の、「時調生活」誌同人たちの雰囲気が大好きです。一般の同人はもちろん、いずれの幹部たちにも気取りや奢りがありません。大学教授や高校の管理職とは思えない、詩が好きで、やさしく素直な人たちの集まりです。これも会の指導者の作風の表れでしょう。
ちなみに、私はこの「時調生活」100号記念誌に、世界伝統詩人協会韓国本部海外総務の肩書で次のような祝辞を送りました。
「私が分不相応に新人賞を頂いて登壇して、すでに8年が過ぎました。いま100号という大きな節目を迎え、私が本当に運良くも出会い難き師と良き友たちに出会えたのだという感慨には切実なものがあります。毎号の巻頭に出る柳聖圭博士の深みのある時調にいつも感服し、諸先輩方の真情のこもる作品を読みながら、私もこの家族の一員として、必死に努力を重ねて行くほかに道はなく、また、それが時調を作る楽しみであり喜びであるのだと感じております」
韓国民団主催のMINDAN文化賞も今年で8年目を迎えました。その間、時調部門にもたくさんの小中高、大学生が参加し、延べ100人以上が時調創作にチャレンジしています。記憶に残るすぐれた作品も数多くありました。
また、韓国の詩について、とくに時調について知りたいということで、今年2回ほど日本の市民団体から講演会に呼ばれました。講演会参加者は、韓国の女流時調作家・李永道の作品などを通じて、時調と日本の短歌との類似性とともにその違いに、つよい関心を示していました。
時調生活100号記念式の席に座りながら、時調が単に歴史的伝統定型詩であるにとどまらず、一つの民族を教養し和合させる文化的共通基盤として、全国津々浦々で愛される日が来ることを念じました。
(2014.11.12 民団新聞)