
副題の「戦記」は誇張ではない。執拗に撮影妨害をする警官、みかじめ料を要求するヤクザ、鋭い目つきでにらみつける客引き。カメラを片手に「日本一の歓楽街」歌舞伎町で18年間、定点観測してきた権さんのあまりにヤバい暴露話に息を呑む。
カメラを片手に「変化」を探し求め、毎日のように歌舞伎町をパトロール。人出の多い週末は徹夜だ。多いときは1晩で3万歩、新品のスニーカーも半年でぼろぼろに。怒声や人だかりを見つけたら無駄足を覚悟でダッシュだ。ベストショットはけんかと同じで、最初の30秒が勝負なのだという。海兵隊でスナイパーとして訓練を受けてきた経験が生きる。
主な被写体は警官やヤクザだ。近づきすぎれば撮影を妨害され、かといって遠すぎると絵にならない。ぎりぎりのライン上を綱渡りしながらの撮影が続く。つい「危険ゾーン」に足を踏み入れてしまうのはフォトジャーナリストのさがだ。
警官に連行され、嫌がらせとしか思えない反省文を強要される。それでも権さんは「取材の一環だ」として頑と拒否を貫く。しかし、ヤクザとなるとそうはいかない。ビルの一室に監禁され、ナイフやピストルで脅されたことは数え切れない。
スリルとスピード感あふれる文体が読者を虜にする。
権徹著
宝島社
(640円+税)
03(3234)4621
(2014.11.26 民団新聞)