掲載日 : [2007-10-11] 照会数 : 6317
チャンゴが結ぶ地域の絆 3年目の大演奏会
[ プロデューサーの栄治さん(左)と実行委員長蔵重優姫さん ]
「韓国への理解・在日文化の発展」願って
全国から奏者100人 国籍を超えて住民仲よく
全国から集まった100人のチャンゴ奏者たちによる大演奏会「サタデーチャンゴフィーバー」(愛称=サタチャン)が11月10日、東京・豊島区の文化施設「みらい館大明」(旧大明小学校)で開かれる。国籍の異なる地域住民たちが、一緒に楽しめる韓国の祭りとして今年で3年目を迎える。チャンゴを通して韓国や韓国人を理解してもらい、さらには在日の作ってきた文化という財産を増やしていきたいとSANTAのリーダーで、サタチャンのプロデューサーでもある閔栄治さんと、SANTAの一員で実行委員長の蔵重優姫さんは話す。
取材当日、東京都内の会場で開かれたスペシャルワークショップには埼玉、東京、大阪から在日と日本人の奏者たちが集まり、閔栄治さんの指導のもと練習に打ち込んだ。
サタチャンの開催当日は、参加者全員の演奏でオープニングを飾る。午前と午後には各チームの演奏と、「100チャンゴ」が披露されるほか、キムチ作りなどの韓国体験コーナーも設けられ、韓国の祭りの雰囲気を味わうことができる。
また今年は閔さんの作曲した創作曲を演奏するほか、韓国から閔さんゆかりの深いゲストなども出演する。
参加者たちは8月から大阪と東京で開かれているワークショップで、直接閔さんの指導を受けながら、創作曲の練習に励んできた。
街の活性化のお役にも
サタチャンにこれまで参加したチームは東京、埼玉、神奈川、千葉、大阪、金沢など20チームにおよぶ。大半はアマチュアだが、素人とは思えないほどの実力を備えたチームも多い。
「池袋のみらい館大明を中心とした地域で、韓国の祭りが定着してきたこと。そして中心になって参加してくれるチームが固定化して、その方たちの助けも大きい」と、これまでの成果について語るのは蔵重優姫さん。
地域住民をも巻き込んでの祭りの開催に一役買ったのが、第1回目から場所を提供しているNPOいけぶくろ大明理事の庄司哲夫さんだ。
「みらい館大明」のある地域は、在日や中国人などが多く住むが、住宅地で交流の場がなかったという。お互いを知り合うきっかけの場になるイベントを考えていたときに、サタチャンの企画をもちかけられた。
「最初は音量の問題もあったが、スタッフたちが近所に協力を呼びかけたり、積極的に努力してくれた」。現在では地域以外にも遠方からも足を運ぶ人たちも増え、地域活性化につながっていると話す。
「サムルノリ広める責任」
閔さんは高校から韓国で国楽を学びながら16年間を過ごした。また蔵重さんも97年に韓国政府の招請小学生として渡韓し、01年まで舞踊団などで経験を積んだ。
特に閔さんの場合は国楽関係者たちをはじめ、韓国サムルノリ界の第一人者である金徳洙さんから「日本のサムルノリは任せた」と言われた責任がある。
「このサタデーチャンゴフィーバーをもっとアピールしなければいけないし、皆が興味を持つように展開していきたい。チャンゴを見たら韓国だなと思えるように、もっと韓国や韓国人のことを理解してもらいたい」と言葉に熱がこもる。
「国楽院支部つくりたい」
さらに将来的には、国楽院の日本支部をなんとしてでも設立したいという強い意欲を示す。
「韓国で頑張って勉強を続けている若い優秀な在日の子たちがいる。みんな日本に帰って演奏したいと思っているが、その機関が日本にない。戻っても職がなく、食べていけないから結局、韓国に残る」
蔵重さんも「在日の実力は凄いものがある。その方たちが日本に帰ってきたら、若い在日たちの目標になる」という確信を持つ。
閔さんは「在日の作ってきた財産をこれからどう増やしていくのか。そのための過程」だと将来を見据える。
「サタデーチャンゴフィーバー」は13〜18時。問い合わせはみらい館大明(℡03・3986・7186)庄司。
(2007.10.10 民団新聞)