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新入学・子弟を本名で通わせる父母の思い
学校との協力関係深める努力が必要

 前回、子どもを本名で日本の学校へ通わせ、幼い時から韓国人としての意識を培っている同胞父母の話を紹介した。父母たちが共通して強調するのは、入学の際の学校への働きかけをはじめ、家庭教育や地域などでの取り組みだ。親が率先して行っている環境作りは、これから入学させる父母たちにとって、ヒントになるかも知れない。

 金純瑛さん(36・東京)が最初にとった行動は、担任と膝をつきあわせて本名で通学させるための意向を告げ、学校側の協力と理解を求めたことだ。学校と協力態勢を整えることによって、問題が起こった時に対処できるようにしたかった。

 「親が最初に学校や地域の中で、韓国人であることをオープンにしていくことが大事」。PTAに出席するのは当たり前、母親同士の付き合いを通して韓国の食文化なども紹介している。

 長男(現小5)が4年生の時、国際理解教育の授業で、チャンゴ演奏や民謡のアリランなど韓国の伝統文化を紹介。また次男が幼稚園の時には、外国人で初めてPTA会長を務めるなど、積極的に学校と関わっている。

 「一番大事なのは家庭内での教育」と話すのは、李陽子さん(50・大阪)。長女(13)には、毎年行っている祭祀をはじめ、礼儀作法などを教えながら韓国人としての意識を育んでいる。また、「韓国で生活させ、ウリマルを耳に慣らせることが大事」だという夫の教育方針で、小学校へ入学するまでの3年間、休みなどを利用して叔母の住む韓国へ一人で行かせた。家庭では簡単なウリマルを使って話をしている。

 千太根さん(40)と田順美さん(38)さん=東京=夫婦は長男(小6)と次男(小2)を年に1、2度、必ず韓国へ連れて行くほか、家庭でも常に韓国を意識して、毎日韓国語のあいさつを交わし、歴史などの話を聞かせている。

 千さんは先月、長男が通う学校から依頼され、社会の授業で韓国のあいさつや礼儀作法、遊戯のチェギチャギなどを紹介。普段、仕事に追われ学校へ行く機会の少ない千さんにとって、直接児童たちと触れあう機会を得た。順美さんも、同級生の母親などに韓国料理を教えたりしながら交流を深めている。「最初に全部さらけ出してコミュニケーションを取ります。親の隠したいという気持ちが子どもに伝わると思う。親の毅然とした態度が大事」という気持ちからだ。

 河賢一さん(39・東京)も、一人娘の小学校入学前に、校長と教頭に面談した。「何か問題が起こった場合に教師にいち早く対応してもらうように情報をインプットする作業は必要」という気持ちからだった。

 河さんは娘に対し、自分の出自を理屈ではなく体で学んで欲しいという。家庭では無理のない範囲で韓国の話題を取り上げる。娘は友だちの誕生日会では喜んでチマ・チョゴリを着ていき、W杯では韓国を応援した。「韓国人ということを表に出したからこそ得られる喜びや楽しさがある。親が揺れてはいけない」と河さんは強調する。

 大阪の姜南保さんと許昌美さん夫婦は、2人が民族学級に関わっていることを子どもたちに見させ、親戚のチェサにも積極的に参加させている。姜さんは「本名は先祖から代々受け継がれた自分を知るルーツの源。親がしっかりとした姿勢を示し、子どもから質問を受けても説明できるように在日を前向きに受け止めることが大事」と話す。

 取材を通して見えてきたことは、本名で通わせる父母が、前向きな姿勢で学校や地域と関わっていることだ。しかし、一人では行動に移せない、方法が分からないといった父母もいる中で、親が孤立しないためのネットワーク作りや、悩んでいる父母たちが集まって相談できる場を民団に求める声も聞かれた。

 増えつつあるとは言え、同胞全体では本名を使用する子弟はまだそう多くはない。将来の担い手になる子弟が出自を明らかにして、萎縮せずに生きられる日本社会に変えていく努力がわれわれ大人に求められているのではないだろうか。

◆「本名」について皆さまのご意見、ご感想をお寄せ下さい。送り先は、民団新聞(FAX03・5419・7555)まで。

(2003.03.05 民団新聞)

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