掲載日 : [2008-07-30] 照会数 : 4107
<読書>北朝鮮の食糧危機とキリスト教 各国教会主導の実態描く
飢餓に直面した北韓の同胞が、決死の脱北を図る。食糧危機が一国の国内問題にとどまらず、東アジア全体に波及する状況に、キリスト教会としていかに取り組んできたか、その支援の内容と負うべき社会的責任を問うている。
意外に思ったのが、北韓への食糧支援を民間でいち早く実施したのが、新潟だったということだ。周知の通り、新潟は在日にとっては「北送同胞」の基地であり、日本人には横田めぐみさんが拉致された怨念深い土地である。そこで97年から現在まで教会を母体に、支援活動が続けられているという。中心人物の言によれば、祖母が敗戦前後、貧しい在日家庭に「困った時はお互い様」と支援していた記憶が背中を押したという。
95年から始められたドイツ教会の食糧支援は、当初は単独だったが、世界教会協議会が乗り出し、カトリックも含めた世界的規模の救援活動へと拡大した。97年からは支援内容に医薬品も加えたばかりか、現地にある製造方法で医薬品を製造するようにした。北の若者の雇用を生み出す効果もあげたのである。
その一方で、食糧事情が徐々に改善した北は05年、「今後は開発援助を」と方針を変更した。救援物資が確実に行き渡っているかどうかのモニタリングを嫌った北の思惑の反映である。身勝手さにあいた口がふさがらない。
(富坂キリスト教センター編、新幹社2000円+税)
℡03(5689)4070
(2008.7.30 民団新聞)