掲載日 : [2008-08-27] 照会数 : 3707
北韓の人権問題 韓米共同声明初めて言及
ソウル大学統一研究所 教授 キム・ビョンノ
改善への圧力強まる
対米正常化にも不可欠
李明博大統領とブッシュ大統領は8月6日、ソウルで会談をもち、北韓の人権問題に対する共同声明を発表した。両首脳は、北韓の深刻な人権状況に認識を同じくし、北韓と米国の「関係正常化の過程で北韓の人権状況改善の意味ある進展がなされるべきだ」と意見を共にした。また、ブッシュ大統領は金剛山観光客の被殺事件にも言及し、この事件の速やかな解決と再発防止のために南北当局の対話に応じるよう促した。
韓米首脳が共同声明を通して、北韓の人権問題に言及したのは今回が初めてであり、会談で北韓の人権問題と金剛山観光客被殺事件に対する具体的な論議があったことは重要な意味を持つ。これは、北韓当局の人権改善努力が今後の対米関係正常化など、北韓の国際社会への復帰において重要な原則・基準を示すものとして注目される。
また、金剛山観光客被殺事件についてのブッシュ大統領の遺憾表明は、責任を韓国側に押し付けて共同調査を拒否している北韓を圧迫する要因として作用するだろう。
国際社会の憂慮を払拭
ブッシュ大統領は過去にも、北韓の人権問題の改善に対する意志を表明してきたが、今回、この問題を特別に強調したことで、北韓の核申告書の提出や冷却塔爆破など核問題の解決にこだわり過ぎたあまり、北韓の人権問題を疎かにしていないか、という憂慮を払拭した。
北韓の核と人権の問題は前後の差はあっても、北・米関係の正常化過程において人権問題が核心的な要素になることは疑いない。北核問題を巡る6者協議の米国首席代表のヒル国務次官補が、7月31日に開かれた米国上院の軍事委員会聴聞会で、北韓の政治犯収容所の実態を取り上げ、北・米関係の正常化に関連して北韓の人権問題進展の重要性に言及したことは、このような事実を裏付けている。
北韓の人権問題は、これまで北韓社会の閉鎖性と関連資料の不足などによって国際的に注目されず、北韓当局の頑な否認によってなす術がなかった。しかし、食糧難を助けるために北韓を訪問した国際機関の人道主義活動家らと脱北者たちを通じて、北韓の人権の実状が公開された。
北韓の凄惨な飢餓の実態、政治犯収容所、住民の移動の統制、金父子偶像化など、北韓人権状況に対する具体的かつ経験的な情報が国際社会に知られるようになった。
北韓は自国の住民はもちろん、海外からの旅行者に対しても移動の自由を制限する国家だ。住居移転の自由がないだけでなく、国内でも自由に往き来することができない。市・郡の境界には検問所があり、公民証や特別に発給された旅行証明書などを提示しなければならない。
金正日指導者や党に対する不評及び批判は、反体制行為と見なされ政治犯として処罰される。
このような政治犯たちを平安南道の价川、咸鏡南道の耀徳、咸鏡北道の化城、会寧、清津など、全国に分布する「管理所」という統制区域へ移住させ、苛酷な生活をさせる。
米国の北韓人権委員会は、1972年以後、収容所で死亡した住民は約40万人に達すると推計し、現在も約20万人が収容されていると把握している。
多くの住民たちを動員した中で、銃殺刑を行う公開処刑は国際社会の非難にもかかわらず依然として実施されている。北韓当局は社会網紀を乱す凶悪犯を処刑する方式であると、その正当性を主張しているが、住民たちに処刑場面を目撃させ、恐怖心を煽る行為は反人倫的犯罪であり、中断しなければならない。
特に最近10年間は、深刻な経済難のため住民たちの生存に対する苦痛は実に深刻である。
経済協力と連携の必要
北韓の人権状況の改善のためには、真摯かつ創意的な方案の模索が必要であり、冷戦体制下のヘルシンキ人権交渉モデルが参考になる。国連など国際社会は、北韓と長期的対話の枠組みを模索し、北韓の安全保障及び経済協力問題を人権と連繋していく必要がある。6者協議も、核問題以外に人権問題を取り上げる方向へ進める必要があろう。
北韓指導部は、国際社会のこうした人権論議が自分たちに不利だと思うはずで、参加自体を受け入れまい。結局、北韓自らが人権改善を有利と判断するモチベーションを得て初めて、北韓は国際社会の人権論議に参加するようになり、実質的な人権改善を導くことができよう。
従って、国際社会は北韓の人権改善のための論議を引き続き行い、北韓がその論議に参加できるように持続的な激励と圧迫を加えて行かなければならないだろう。
(2008.8.27 民団新聞)