掲載日 : [2008-09-03] 照会数 : 3896
<読書>わたしの娘を100ウオンで売ります 目を覆う悲惨な飢餓状態
著者は金日成総合大学を卒業し、朝鮮作家同盟中央委員会に所属するエリート詩人であった。金正日国防委員長のお墨付きをもらって労働新聞に詩を掲載し、わが世の春を謳歌する絶頂期もあった。
しかし、「最も貧しい国に、最も富裕な王がいる」という矛盾に気づいてから脱北を決意し、04年に韓国入りを果たした。
北で書き留めたメモを抱いて越境したのは、身分が発覚する危険よりも、300万人の餓死者の実態を暴露しなければならないという使命感を優先したからであった。
木の皮をぐつぐつ煮たものを食べて飢えをしのぐ住民。草粥をご飯だと思いこんでいた子どもは、誕生日に出された白米のご飯を前に、「ご飯じゃないからいやだ」と駄々をこねる始末だ。親の胸はどれほどかきむしられたことだろうか。
表題の詩は障害をもつ母親が、幼子を100ウォンで売ったお金で小麦粉パンを買い、別れていく娘の口へ押し込み、慟哭しながら赦しを乞うという内容だ。
先軍政治に呆けて国民の命を危険にさらす愚は、為政者自らが引き起こしたものだ。しかし、その愚行の巻きぞえを喰らい、かの地で苦しんでいるのは、血を分けたわが同胞である。声高に制裁を叫ぶだけでは問題は解決しないと思うが、どうだろう。
(張真晟著、尹隆道訳、晩聲社1500円+税)
℡03(5283)3721
(2008.9.3 民団新聞)