掲載日 : [2008-09-03] 照会数 : 7197
神戸市教委 副主任すら認めず
[ 要望書を読み上げる孫敏男代表(左から2人目) ]
市立中学校の在日教員を降格に
校長ら説明も不十分なまま
【兵庫】神戸市内の公立中学校で、学校長が韓国籍の教員を学年「副主任」に任命しながら、市教委教職員課の判断を受け、十分な説明もないままこれを覆していたことがこのほど明らかになった。このため、同僚や保護者の間には、この教員が「なにか大きなミスを犯して降格させられた」という誤解が広がっているという。
支援団体 事実確認求める
事実を知った兵庫在日外国人人権協会(孫敏男代表)と兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会(藤川正夫代表)は、これを「人権侵害事件」だとして8月29日、「事実確認会」への校長・教頭・教務主任の出席を求める要望書を市教委教職員課に提出した。
要望書によると、校長はいったん、在日韓国人教員を副主任に任命したにもかかわらず、教育委員会教職員課の判断により91年の文部省通達を理由に在日外国人は副主任になれないと回答した結果、用意していた校務分掌一覧表の数カ所の当該教員の名前を全職員に消させたということであった。その際、理由を説明することもなかった。このため、なにか大きな落ち度があったかのような誤解を与えている。
この韓国籍教員は93年に神戸市に採用された韓裕治さん(43)。神戸市の外国籍教員の第一号だ。今年、16年目を迎えた中堅教員であり、これまでにも副主任の仕事をこなすなど、要職を担ってきている。
韓さんは今年も副主任の仕事を当然のこととして引き受ける気でいたが、教育委員会、学校の管理職に「『期限を附さない常勤講師』職であることが分かった上での校務分掌ですね」とあらためて確認を求めていた。
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91年「覚書」の精神 再確認を(寄稿)
全国在日外国人教育研究所 小西和治事務局長
91年1月の李相玉外交通商部長官と中山外相による韓日「覚書」では、公立学校の教員採用試験の受験を認めるよう都道府県を指導し、採用された韓国人公立学校教員の「身分の安定や待遇についても配慮する」という確認が行われ、在日外国人教員の採用が進展した。
しかし、日本の文部省(当時)がこの覚書を悠意的に解釈し、同年3月に、常勤講師に限り「在日韓国人など日本国籍を有しないものを任用することが可能である」とし、教諭任用を禁じた。また教諭に準ずる講師は「常に教務主任や学年主任等の主任の指導・助言を受けながら補助的にとどまるもの」であるとする局長通知を出した。
この通知は「覚書」の精神に違反する日本文部省の一方的な主張であり、81年に日本が批准した内外国人平等を定めた難民条約や労働基準法の内外国人均等待遇にも違反するものである。
講師にしか任用できないと通達にあるが、教員免許状は教諭の資格だ。もとより教育職員免許法に国籍条項があるわけではない。日本社会の内なる国際化や、多文化共生が進み、政府による自治体の統制緩和が進んでいるいま、91年3月の次官通達の破棄を文科省は宣言すべきである。
まず、主任が「校長の行う校務の運営に参画する職務」であるのかどうか。これについては大阪市や東京都、三重県、兵庫県ですでに外国籍の主任や部長が確認されている。ましてや「主任から指導を仰ぐ立場の副主任がなぜ、今年からだめなのか」という韓さんの疑問に市教委は真摯に向き合うべきだ。
学校教育法の改定により、新たに副校長、主幹教諭、指導教諭などが生まれるなど一層の階層・序列化が進むなか、ともすると「教諭」より一段低く見られがちな「期限を附さない常勤講師」の置かれた立場はますます微妙になる。保護者や子どもから「臨時採用者」と誤解されたり、「やっぱり朝鮮人の先生は日本人の先生の下や」と言われたりしているという。このままいけば、「外国人には重要な仕事を任せられない」と単純に考える日本人教員が出てくるのではないかと心配だ。
91年覚書から10数年。外国籍教員は全国的に増加しており、公立校だけでも200人を超える。経験、年代的にも管理職になっておかしくない時期だ。神戸市は「国際都市」として、今後ますます進む多文化共生の時代にふさわしい外国人任用のあり方を考える時期に来ている。
(2008.9.3 民団新聞)