掲載日 : [2008-10-08] 照会数 : 4038
<読書>朝鮮伝道者 織田楢次 神社参拝強要に断固反対
植民地時代の朝鮮で朝鮮人にキリスト教を伝道し、神社参拝強要に断固反対した日本人牧師、織田楢次の信念が行間に溢れている。
楢次の悪童ぶりに手を焼いた仏教徒の父の遺言により、兄が住職を務める寺にあずけられたが、どうにもしっくり来ない。兄に問うと、「宗教は方便だ」という信じがたい言葉が返ってきた。失望の余り、寺を飛び出し、繁華街をさまよううちに街頭伝道するキリスト教の若者たちに出会った。興味本位について行き、行くあてもないまま教会で寝泊りするようになった。
洗礼を受け、聖書を勉強し始めた20歳の頃、神戸市内で露骨な朝鮮人差別を体験した。「同じ人間なのにこの侮辱は一体何だ」。朝鮮伝道を決意し、周囲の猛反対を払いのけて、玄界灘を渡った。各地を転々としながらの伝道は、筆舌に尽くせぬ茨の道だった。官憲からはスパイと疑われて拷問を受け、日本帝国主義に協力する教会からは国策に従うよう懐柔され、朝鮮人からは敵扱いされた。
それでも、決して諦めなかった。朝鮮語をまったく理解しなかった青年が、虎の穴にこもって3カ月修行し、虎に襲われなかった奇跡や、口から朝鮮語が流れ出る奇跡の説教をした事実が、民心をわしづかみしたように、読者も良質のドキュメンタリーに胸を踊らせることだろう。
(柳大河著、新幹社2000円+税)
℡03(5689)4070
(2008.10.8 民団新聞)