掲載日 : [2008-10-08] 照会数 : 3782
<読書>韓国原爆被害者 苦痛の歴史 拒絶された人々の証言集
世界で唯一の原爆被爆国は日本だが、被爆者は日本人だけではない。広島、長崎の被爆者の1割は、韓半島の出身者だった。一般には知られていない事実だが、押さえておかねばならない。
原爆投下によって日本が敗戦し、それによって植民地支配から解放されたと認識する大多数の韓国人がこの事実を突きつけられれば、立ち止まって考えるかもしれない。
また、被害者の立場を強調しながらも、戦争を仕掛けた加害者の立場について目をつぶる日本の態度もフェアではない。8月6日が何の日か知らない広島の子どもが増えているというが、被害にしても加害にしても60余年の時間の経過とともに風化している現実に驚く。
本書は長い間、日本の被爆者援護政策から切り捨てられていた韓国在住の被爆者21人が、なぜ異国で被爆したのか、韓国に帰国後はどのように生きてきたのか、なぜ被爆者を組織して日本政府に補償を要求し続けてきのか、などをまとめた証言集である。
原爆投下の理由について、日本での本土決戦で予想される大規模な被害を防止するためで、「やむを得なかった」という説がある。また、米国がソ連を牽制する目的だったという説もある。
いずれにせよ、被爆犠牲者のことは眼中になかった。被害者の肉声に耳を傾けよう。
(鄭根埴編、明石書店3500円+税)
℡03(5818)1171
(2008.10.8 民団新聞)