掲載日 : [2008-11-06] 照会数 : 4019
<読書>柳宗悦と朝鮮〜自由と芸術への献身〜 朝鮮の美といかに出会ったか
柳宗悦は朝鮮王朝時代の民芸品収集家であり、日本民藝館を創立するよりも先に朝鮮民族美術館を設立した日本人である。また、日本の植民地支配と同化政策を、発言の自由を奪われた朝鮮人に代わって公然と批判し続けた実践の思想家、行動する哲学者でもあった。
これら柳の思想と行動について著者は、芸術への熱情と献身、さらに歴史に対する深遠なる思想と哲学という二つの山脈から成り立っていると分析する。柳はいかに朝鮮と出会ったのだろうか。
柳の母の弟(叔父)が講道館柔道を創設した嘉納治五郎で、学習院の教頭を務めていたこともあり、高等科まで学習院で学んだ。同人雑誌『白樺』を通じて志賀直哉らと交友を深めるうち、朝鮮陶磁器研究の先駆者、浅川伯教と出会った。
『白樺』愛読者の浅川は、数点の朝鮮陶磁を持って柳宅を訪れた。すでに20歳の時、その美しさに心打たれ、朝鮮染付白磁を買い求めていた柳だったが、朝鮮の美に対するそれまでの内的蓄積が、一気に昇華した。その2年後、柳は朝鮮訪問を果たした。石窟庵で仏教美術の発見と霊的体験をしたことが、「芸術を通して両民族の心を結ぶ」実践に拍車をかける一方、虐げられる朝鮮民族と失われる文化の運命を真正面に見据えて闘うことになったのだ。
(韓永大著、明石書店3300円+税)
℡03(5818)1171
(2008.11.5 民団新聞)