掲載日 : [20-01-29] 照会数 : 15245
尼崎工業高校「朝鮮語」授業、45年の歴史に終止符
[ 受け持ちクラスの最後の授業で「お別れ韓国料理教室」を実施する朴玲実先生(左) ]
「韓国・朝鮮語教育のレジェンド」
【兵庫】兵庫県立尼崎工業高校(尼崎市中洲中通1)で21、22の両日、外国語の選択科目「朝鮮語」の最終授業が行われた。同校「朝鮮語」は1975年に全日制高校としては初めて正式科目として導入された。「韓国・朝鮮語教育のレジェンド」とも呼ばれてきただけに関係者からは廃止を惜しむ声が出ている。
21日、受け持ちクラスで「お別れ韓国料理教室」を担当した非常勤講師の朴玲実さんは「『朝鮮語』授業がなくなることは残念で寂しいが、生徒たちが韓国のことを好きになってくれたことはとてもうれしい」と話した。
授業を参観していた神戸韓国教育院の宋賢美院長は「尼工の韓国語授業の復活を願って、今後とも韓国文化などの学習の支援を続けたい」とエールを送った。
同じく22日に文字通りの最終授業を担当した近藤富男先生は「次の世代の生徒たちに選択授業がないことは、(『朝鮮語』に触れる)チャンスがなくなることと等しく、とても残念」と語った。
同校「朝鮮語」授業は2、3年生の選択科目として実施している。最終年度となった2019年度は3年生のみ20人が受講した。
朴講師は「民族学校や民族学級は在日のみ。選択授業は日本人も一緒に言葉や歴史、文化を学ぶ。在日と日本人が同じ空間にいることで、お互いを理解し合うことができる」とその利点を強調した。
3年生のある男子生徒は、「来年なくなるのはもったいない。他国の言葉を知るのはその国の人と仲良くなるためには絶対必要条件なんですよ。BTSのファンの人 会いたいんやったらハングルならえばいい」と作文に記した。
中学生の時、BIGBANGのライブDVDを見たことが高校で朝鮮語の授業を受けるきっかけとなったという高校3年の日本人生徒は「尼工祭(文化祭)ではサムルノリを演奏し、とても楽しかった。授業がなくなるのは寂しい」と話していた。
ある在日の生徒は2年次から「朝鮮語」授業を選択してきた。「いちばんうれしかったのは、歩いていて韓国語の看板が読めたこと」だという。韓国にも行ってみたいと希望を語った。
「朝鮮語」授業の廃止が取りざたされるようになったのは17年ごろから。同校教員、卒業生、旧教職員有志らが立ち上がり、校長に要請書、県教委には要望書を提出してきた。しかし、校長の意思は固く、「朝鮮語」にかわって英語に重点を置くとした新たなカリキュラムを県教委に提出していた。
関係者によれば同校は今後、外部に依頼して韓国語や韓国の文化を学ぶ講演会、体験会を考えているという。
(2020.01.29 民団新聞)