「次世代育成1000人プログラム」の一環である夏季母国研修に、中・高・大生ら約550人が参加した。詰め込み式の研修に多くが不満を感じたものの、結局は、新たな知識を吸収したことへの喜びが勝ったことが分かる。アンケートや感想文を精査しての結論だ。
当初、「実名の感想文には本音を書きにくいのではないか」、「かといって、匿名のアンケート調査でも設問には限界があり、心のヒダまでは読みとれまい」との懸念があった。だが、感想文には中・高・大にかかわりなく、率直な心情が綴られていたように思える。それぞれが身を置く状況は多種であり、意識も多様だ。一人ひとりの個性が浮き上がっていた。
揺れて定まらないアイデンティティに、一本筋が通ったことを自覚した喜びを多くが語る一方で、苦言も随所に。北韓の悲惨な状況は分かっているし、改めて深刻に受けとめた。しかし、韓国の実像はどうなのか。第2次大戦後に産業化と民主化を成し遂げた唯一の国、と自画自賛するだけでなく、様々な歪みや葛藤についても学ぶべきではないのか。在日同胞についても、韓国と日本の複合的な視点から新時代を切り開く先兵、などと悦にいるだけでいいのか。
全員の感想文(一部に未提出者も)を読み通して痛感したのは、自分たちを取り巻く現実を、オブラートや糖衣にくるまれていない事実として知りたい、という欲求の強さだ。「一生ものの友人ができた」。参加者の大半がこう述べている。日本人の同世代より一つ多い悩みを抱えている分、絆も強いはず。自分たちの現実と未来を率直に、本音で語り合う仲間の存在をいつも意識して欲しい。(P)
(2011.9.28 民団新聞)