掲載日 : [2009-11-18] 照会数 : 6381
<布帳馬車>日馬富士関の「はる」は韓国語?
韓国初の砕氷研究船は「アラオン」、国産初のヘリコプターは「スリオン」。「アラ」は海や大水、「スリ」はワシタカ目の鳥(日本でもノスリと言う)のことで、「オン」は「オンセゲ(全世界)」「オンモム(全身)」などと用いられるように、「全て」という意味を持つ。常用語として残るのは2割から3割とされる純粋な固有語の組み合わせである。全ての海と空に打って出ようとする気概を込めた。
世界に冠たる表音文字ハングルを創製し、それに特化する活字文化を築くだけでなく、言葉はあるが文字のない民族に輸出までしているのに、その本拠本元がハングルによってこそ生かされる固有語を衰退させたままでいいわけがない。固有語の発掘、復権は韓国文化を豊かにする。さらに、ウラル・アルタイ語圏の交流に華を添えよう。
安馬が大関に昇進し、日馬富士(はるまふじ)の四股名を名乗ったとき、「日」を「はる」と読むことに首をかしげた相撲ファンは多い。だが、韓国語をたしなむ人なら、「たぶん」と思い至ったはずである。韓国の純粋固有語に「ハル」があり、それが今でも「一日」あるいは「昼間」などの意味で日常的に使われているからだ。
韓国と日本で古代から生き残った言葉には、共通の意味を持つ単語がかなりある。奈良の「ナラ」は、韓国で「国」・「邦」を意味するバリバリの現役語であり、古代語でも「野」・「国」・「宮」・「王」の意があった。来年は平城京遷都1300年。共通語から交流史を照らし出すのも悪くない。(J)
(2009.11.18 民団新聞)