「東日本大震災2周年追悼式」に韓国代表の姿はなかった。独島問題などでギクシャクしているからと言って、「まさか。あり得ない」と思っていたところ、菅義偉官房長官が翌12日の記者会見で、台湾代表の指名献花に反発して欠席した中国と違い、「(韓国の場合)先方の実務的ミス」だったと明らかにした。
胸をなで下ろす半面で恥ずかしさを募らせた同胞が多いはず。国家行事への出欠確認がファックスだったのもさりながら、いくら大量のファックスが届く大使館とはいえ「受け取りミス」があったなどとはにわかに信じがたい。ミスに気づいた申珏秀大使はその日の夜、外務省事務次官に電話で事情を説明したという。
2周年を前に被災者の現状や復旧・復興の進捗度が連日報道されていた。追悼式が昨年に続いて開かれるのは<常識>に属する。韓日関係が確実に修復への道を歩み始めたとは言えないだけに、「?」を招いたのはいただけない。だが、申大使が読売新聞(13日付朝刊)に「3・11東日本大震災2年に際して‐『雨天の友こそ真の友』」と題して寄稿したことで、韓国の誠意はしっかり伝えられたと思いたい。
大使はそこで、一昨年6月に赴任してすぐ被災地を訪れ言葉を失ったこと、被災者が見せた秩序意識や忍耐、互助の精神が印象的だったことに触れる一方、韓国国民が史上最高の募金と様々な支援活動を行い、在日韓国人も腕をまくったことを紹介しながら、「隣人精神」が両国のかけがえのない大切な資産になるだろうと期待を込めた。
ミスがなければ寄稿はなかった。この一文が被災者の心に届いてくれれば幸いである。(P)
(2013.3.20 民団新聞)