<誠信女子大教授 キム・ヨルス>
北韓の挑発再びあれば中枢部への打撃必ず
3年前の2010年3月26日の夜9時22分、乗組員104人の天安艦が白 島海域で警戒任務を行っていた。水深が浅く、水流の速いことで有名な白 島海域だが、潮流がほとんど感じられないほど静かな時間帯であった。北韓はまさしくこの時間帯を利用して魚雷を発射、天安艦を爆沈させた。46人の勇士が戦死し、船舶の引き揚げ作業に参与したUDT(韓国海軍特殊戦旅団)隊員も殉職した。
西海だけで3度も挑発してきた北韓のことだから、天安艦爆沈直後にも北韓の仕業だとの直感はあった。しかし、科学的かつ客観的な証拠が必要だ。政府は主権国家としての面子があるにもかかわらず、国際的な官・民・軍の合同調査団を構成した。
国内12民間機関の専門家25人と軍の専門家22人、国会推薦委員3人、そして米国、豪州、英国、スウェーデンの専門家24人の計74人が調査に参加した。
砲弾で消えた「天安艦怪談」
約2カ月間、水深深く物理的調査と科学的実験がなされ、調査進行過程で決定的な証拠を見いだした。底曳網漁船が天安艦爆沈海域を念入りに調べ、北韓魚雷の推進体を見つけ、推進体内部から「1番」と記された北韓書体の文字を見いだした。
合同調査団は5月20日、天安艦は高性能爆薬250㌔規模の音響追跡重魚雷(CHT‐02D)の水中爆発で発生した衝撃波とバブル効果によって切断され、沈没したと発表した。
ところが、韓国社会で異常なことが起こった。いわゆる「天安艦怪談」がインターネット討論ルームにはびこった。さらに韓国のある市民団体は、合同調査団の調査結果に異議を提起する公開書簡と27㌻の反論報告書を国連安保理15理事国に送付した。安保理決議を通じて北韓の蛮行を白日のもとにさらけだそうとした韓国の意図は、安保理議長の声明を引き出すだけにとどまった。理事国は「我々を説得する前に貴国の国民から理解させよ」と回答した。これこそ、47人の勇士を失いながらも、政府と国民が受けた辱めだった。
その後、同年11月23日に北韓の延坪島砲撃挑発があってからは、天安艦怪談は急速に消えていった。CCTVを通じて、北韓の砲弾が落とされ、爆発する場面を実際に確認したからだ。
公開的殺人は2度と許さぬ
天安艦爆沈以後、金正日の高笑いが数十回報道された。自身が直接指示した蛮行であるにもかかわらず、韓国の一部「市民」が北韓の仕業に対してむしろ疑問を提起し、安保理決議まで挫折させたのだから、どれほど喜んだか。北韓にとって天安艦は、再びつまずかせる「殺人の追憶」として残った。
このような「殺人の追憶」が再び現実化する兆しを見せている。3年前と違いがあるとすれば、隠密な殺人ではなく、延坪島のような公開的殺人を公言している点だ。
北韓は安保理決議案2094号が採択されるのを前後して、休戦協定の白紙化、南北不可侵合意の無効化、非核化共同宣言の廃棄と合わせて、甚だしくは核兵器でソウルを攻撃するとの発言までためらわずにいる。元山に兵力と装備を集結させる内容を報道することにより、全面戦争を起こして韓国を「焦土化」させる態勢まで示している。
3年前にも、キー・リゾルブ演習が終了するころに北韓は天安艦を爆沈させた。今回も北韓は核実験に対する安保理の制裁と同演習への対応で韓国を攻撃すると脅かしている。
反省と謝罪は固く拒否し、かえってもっと大きな声で挑発を叫んでいる。盗人猛々しさもこれ以上のものはない。北韓の公言どおり、北韓は再び奇襲攻撃の時期と場所、手段と方法を選んで挑発するだろう。
金正恩は判断を誤ってはならない。奇襲攻撃は成功できるだろうが、韓国の対応はかつてのように未熟ではないだろう。挑発の中枢部と支援勢力、そしてその指揮部まで報復する態勢を備えており、攻撃された部隊は上部に報告することなくただちに報復することになっている。
国民もこれ以上やられっ放しではなく、断固たる対応を望んでおり、以前とは異なる。だから、いまやわずかな数に凋落した従北勢力に対する期待も抱くな。天安艦の護国英霊も懲罰の道にともに加わることを忘れるな。
(2013.3.27 民団新聞)