朴槿惠大統領当選人が2月25日、第18代大統領として青瓦台に入る。韓国の政治指導者の中で最も安定した、強い指導力の持ち主とされるだけに、歴史認識や領土問題をめぐってぎくしゃくした韓日関係に心を痛める在日同胞の期待は大きい。東京と大阪の新年会参加者を中心にこれからの韓日関係に寄せる声を聞いた。
未来志向で一貫
朴当選人はビデオメッセ‐ジを通して在日同胞に親しく語りかけた。新年会会場で直接、声を聞いた参加者は一様に好感を持って迎えたようだ。
島枝さん(婦人会大阪本部国際部長)は親近感を感じたと次のように語った。「これまで遠いと思っていたウリナラが身近なウリナラに思えました」。李根さん(民団宮城本部団長)も「自制的だが、日本との真の友好関係を築こうという思いがにじみ出ていた。日本側も、声に出さなくても、仲良くしようというのが大多数だろう」と推測している。洪采植さん(韓商連会長)は「朴当選人は歴代大統領の中では在日同胞をいちばんよく理解している」と大きな期待をかけている。
政策としてはやはり韓日関係改善への期待が大きいようだ。韓賢澤さん(民団山口本部団長)は、「韓日関係が良くならないと、東北アジアの平和を維持するのは難しい。両国の新政権はともに保守本流だけに、関係改善が期待される」と話す。朴喜雄さん(民団山梨本部団長)も、「韓日中3カ国が手を携え、未来志向で行かなければ世界では通用しなくなる。さまざまな交流を増やしていくほかない」と見ている。
歴史認識については、「あえて取り上げて対立するのは得策ではない」(鄭平晋民団埼玉本部前団長)と自制を求める。金慶昭さん(民団新潟本部団長)も「安倍さんが右寄りの政策を取ろうとしても世界は大きい、日本の独断だけではどうこうできないでしょう」と見ている。
許明信さん(民団大阪本部民族教育推進委員)は「歴史認識の問題は焦らないでもらいたい。なにが両国の利益になるかを冷静に考え、漸進的に解決していくべき問題です」と強調した。
地域交流さらに
これに対して金一雄さん(民団栃木本部団長)は、「韓日関係が難しいこういう時期だからこそ、民団が突破口を開く役割が期待されている。それぞれの地元で韓日間の交流を促進し、地域との地道な友好を築いていくことこそが我々に課せられた役割だ」と述べ、底辺での裾の拡大に意欲を燃やす。韓清二さん(民団岐阜本部団長)も「地域に貢献し、在日の力をアピールすることで韓国からも誇れる在日になると思っている」と話す。
(2013.1.16 民団新聞)