掲載日 : [2005-12-14] 照会数 : 7155
「差別撤廃法」まず地域から 人権法連絡会
[ 基調報告を行う佐藤信行さん ]
NGOと研究者、弁護士が初のネットワーク
外国人人権法連絡会の結成を記念しての市民集会が8日、日本教育会館で開かれ、関係者ら200人余りが駆けつけた。集会では在日外国人と民族的マイノリティーが生活者として日本であたりまえに生きていける枠組みづくりに向けて、NGOと弁護士が力を合わせていくことを誓い合った。
基調報告に立った佐藤信行さん(外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会)は、「民族差別、人種差別を禁止するための法律が必要」と「外国人人権基本法」の必要性を強調した。
日本には国際人権規約に加入しながら外国人・民族的マイノリティーのための「人権基本法」がなく、人種差別撤廃条約に加入していながら人種差別を禁止するための実効的な法制度づくりに着手していない。
このため、石原慎太郎都知事に代表される公職者による外国人排斥の扇動を許し、国際人権諸条約の実施監視機関である国連の各委員会からは「懸念」と「勧告」が出されてきた。
この日発足した外国人人権法連絡会では、人権NGOと研究者、市民、弁護士による初の横断的な市民ネットワークを駆使し、「人権基本法」や「人種差別撤廃法」の制定、およびその実効性を確保する国内人権機関の実現に向けて世論喚起を図っていくことを確認しあった。
難点はそれぞれ個別の課題を担っていること。過去1年間にわたる準備会議の中でも「新渡日の移住労働者と、在日コリアンの問題でどれだけ共有できるのか」といった疑問の声も出ていた。この点は「最大公約数的な課題を『人権法』に収れんしていく。連絡を取り合うことで運動も広がっていく」との意見が大勢を占めた。
具体的には自治基本条例や差別規制条例のようなものを制定した比較的先駆的な地域から条例化を働きかけていくことにしている。法律と違い、条令は有権者の50分の1の賛同で直接請求できるのも強みだ。
共同代表の丹羽雅雄弁護士は「大阪で入居差別規制の条例を制定しようとすれば、大阪の人々が住民本位で立法運動を担う。条件の整ったところから各地で総合的な人権条例、差別撤廃条例をつくっていこう」と呼びかけた。
(2005.12.14 民団新聞)