「不法行為」は必ず頓挫
心新たに民団理念を貫こう
韓商連問題は、関連者の自己顕示欲によるスタンドプレーから始まり、財政問題を隠蔽するための組織の私物化に発展し、民団を総連の手先・弾よけにしようと画策した5・17事態の主導的メンバーが関与していることから、政治的な民団破壊活動にもつながる事件だと言われます。
苦難の時代に、在日同胞の血と汗によって築かれた韓商連が、一部の陰謀者たちによる謀略の食い物にされようとしたわけです。関連者たちは将来、少数のみじめな背信者集団として記録されます。
民団に指導権
過去長年にわたり、民団中央委員会は韓商連を含むすべての傘下団体の規約改定申請を審議し、議決してきました。このことは、規約上のみならず慣習法としても、傘下団体への包括的な指導責任を民団中央委員会が負っていることを示しています。
ある時期のある特定の傘下団体執行部が、上部団体の最高議決機関である民団中央委員会での論議と承認を得ずして、勝手に民団傘下団体の資格を離れることはできないことを示しているのです。
設立経緯に見る道徳的な規範からのみならず、「法的」にも、傘下団体の特定執行部による一方的な「傘下団体離脱」は明白な「不法行為」なのです。日本人にとっては分かりにくい問題ですが、日本の司法機関もいずれこの事実を認定することになるでしょう。
一連の事象の本質は、このような事件が起こりうる民団の組織風土上の特性にあると思われます。
第一は、民団組織の民主的な運営スタイルです。民団は朝鮮総連とは異なって民主主義を組織原則とし、すべての役員が自由な選挙によって選ばれ、役員に対する報酬もありません。民主主義の寛容性は、悪意の第三者の浸透を簡単に許してしまう側面があります。
民主主義は構成員の自律性を前提とし、構成員一人ひとりの平等と自由のために、この寛容性を捨てることができません。その点が、全体主義的組織との決定的な違いです。しかし結局は、一人ひとりを大切にしようとする民主主義は勝利します。民団は今後も徹底して民主主義的であるべきです。
第二は、役員及び専従職員の綱紀の問題です。民団は、本質的にボランティアの団体です。ボランティアとは、個人の利益を追うものでなく、自分自身の理想に向かって奉仕する者たちです。
民団は、その綱領に掲げた理念を実現しようとするボランティアたちの集団であり、在日同胞社会唯一の指導母体です。
6大綱領の実践を通じて、東北アジアの平和を確立し、祖国の発展と統一を希求する者たちの偉大な団体だと言えます。
綱紀のゆるみ
しかし時として、私たちは日常生活に埋没してボランティアであることを忘れがちです。韓商連問題も、こうした全体的な綱紀のゆるみから発生したと言えるかもしれません。
私たちは心を新たにし、民団6大綱領を素直に受け止めなおさなければなりません。韓半島分断の歴史が最終段階に達した今こそ、全国の役職員に「初心忘るべからず」の気持ちが必要な時はないでしょう。待ちに待った目標地点が目の前に迫っているのですから。
韓商連問題を解決する基盤は、あくまでも全国の団員の結束した努力にかかっています。ことに全国の韓商会員と役員みなさんの奮闘が期待されています。
(2013.6.12 民団新聞)