掲載日 : [2021-05-12] 照会数 : 5349
新刊紹介 ひと味違う韓国ガイド「ソウル25区東京23区」
ソウル25区と東京23区の人口は双方とも900万人台でその差わずか数万人、面積も600㌔平方㍍前後とほぼ拮抗している。そればかりか、本書を読むとそれぞれの区どうしでも、雰囲気を見たら驚くほどの共通点を見てとれる。
たとえば清渓川沿いの馬場洞と関東地区最古のコリアンタウン、荒川の三河島は「焼肉」で共通している。いずれも、かつては屠畜場が置かれていたというから納得だ。著者は三河島の路地に入ると、その香りは韓国の古めかしい市場そのものと記述している。
うわべだけの似たもの探しにとどまらない。双方の歴史、風土も限りなく掘り下げており、知的好奇心を満たしてくれる。東京23区から、まだ足を踏み入れたことのない「並行都市」(パラレルワールドシテイ)としてのソウルの街並みが眼前に浮かび上がり、既存のガイドブックにはない温もりが伝わってくる。
本書を手に知らなかったソウルの隅々まで歩きたくなった。東京23区も、この本を手にすればいままでとは違った風景が見えてくることだろう。
吉村剛史著、税別2300円。合同会社パブリブ(03・6383・1810)。
(2021.05.12 民団新聞)