掲載日 : [2023-03-22] 照会数 : 1773
多言語同時電算出力に道筋、高仁鳳氏の軌跡 顕彰
[ 高仁鳳氏の軌跡を紹介するパネルと観覧者(生野区) ]
【大阪】世界で初めて韓・日に中国語、英語も加えた多言語同時電算出力に道筋をつけ、「多言語ならKBS」と知らせしめた印刷会社の創業者、高仁鳳さんの没後から今年で10年。その軌跡を振り返るイベント(同実行委員会主催)が4日、大阪市立生野区民センターで開かれた。
高さんは在日2世。1968年、西成区で印刷会社「僑文社」を創業し、ハングルをコンピューターに自動写植するシステムの実用化にいち早く成功した。また、90年代からはスペイン、タイ、タガログ語も加えた多言語印刷を展開してきた。
41年大阪生まれ。解放後の47年、6歳で帰国し、韓国戦争に巻き込まれた。兄を徴兵にとられ、母を亡くし、10年後に父のいる日本に戻った。この時の経験から「戦争を二度と起こさせない」「韓日の友好親善」「南北の自主的平和統一」を生涯にわたってめざしてきた。
会場には高さんの生前の写真や貴重な資料など約50点を展示。立命館大学経営学部の石川亮太教授による講演、「ひとり放送局‐高仁鳳が猪飼野から伝えようとしたものー」と題した映像、ソプラノ金美優さんの独唱(ビデオ映像)などで高さんの軌跡を立体的に振り返った。
高さんの長男であり、ケイビーエス株式会社代表取締役の高允男さんは、「10年経ってこんなにもたくさんの人たちが参加してくれたことに父の偉大さを感じる。父のこれまでの活動が皆さんの役にたっていることにも、驚きと皆さんへの感謝の気持ちでいっぱい」と話していた。
(2023.3.22民団新聞)