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偉大な道のり…不屈の意思で拓く
尊敬する国民の皆様、700万在外同胞の皆様、並びにご出席くださいましたご来賓の皆様。本日は光復70周年、そして建国67周年を迎える歴史的な日です。
この70年は大韓民国を堅固な磐石の上に立たせる実に偉大な道のりでした。70年前の今日、我が民族は独立に向けた熱望と献身的な闘争によってついに祖国の光復を成し遂げました。殉国烈士の不屈の意志と愛国心は今日の偉大なる大韓民国を建設する土台となりました。
輸出額世界6位の「経済大国」を実現
67年前の今日は、大韓民国政府を樹立した日でもあります。これまで大韓民国は民族の悠久の歴史と正統性を継承し、自由民主主義を守り、国家経済と国民経済の恒久的繁栄の礎を築いてきました。
しかし、光復の喜びは半分の喜びにとどまりました。分断の悲劇と韓国戦争の惨禍は我々の暮らしの基盤を根こそぎ奪い、少なかった産業基盤までも全て崩壊してしまいました。しかし、我々は決して挫折しませんでした。
国民の団結した意志と力で新たな飛躍を遂げました。資本も、技術も、経験もないまま、荒涼の地に製鉄所や造船所を建て、厳しい難関を乗り越え国土の大動脈となった京釜高速道路を建設しました。そして、今や世界最高水準の電子製品や自動車、鉄鋼、造船、石油化学製品を生産する国となり、輸出規模世界6位の経済大国として発展しました。
人口5000万人以上の国の中で国民所得が3万ドルを超える国、いわゆる「50―30クラブ」の国家は地球上に6カ国しかありません。私は遠くない未来に大韓民国が7番目の50―30クラブ国家になると確信しています。
今や大韓民国は拡大した経済力と国力を基盤に国際社会で堂々と先導的な役割を果たしています。
援助を受ける国から援助をする最初の国となり、国連平和維持活動にも積極的に参加しています。我々の発展の経験を開発途上国と共有しつつ、繁栄を目指す多くの国々にとっての「希望の証」となっています。
世界が漢江の奇跡と呼ぶ大韓民国の成就の歴史は我々国民の血と汗、不屈のチャレンジ精神の実りでした。私はその不屈の意志で創造の歴史、奇跡の歴史を創ってきた国民とともに大韓民国の「新たな飛躍に向けた大長征」に乗り出したいと思います。
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創造経済と文化隆盛…4大改革で支える
尊敬する国民の皆様。
我々は今、世界的な景気低迷と国内外的に多くの困難に直面しています。私は大韓民国がこれらを克服し、新たな未来へ飛躍するためには、21世紀の時代的要求であり代案でもある創造経済と文化隆盛の二つの翼を完成させなければならないと思います。
政府は創造経済を新たな経済パラダイムとして提示し、その実現に向けて努力してまいりました。先月には17の広域市道に創造経済革新センターが全て構築され、創造的アイデアを持つ国民なら誰でも最高水準の起業支援サービスを受けられるようになりました。
地域の革新の主体と機関が協力し、地域の優秀な人材と地域に特化した産業を育成し、地域経済の新しい成長エンジンをつくってまいります。すでに約4600人がメンタリングを受け、200余りの企業を育成しており、235億ウォンの投資を誘致する成果を挙げています。
これから創造経済が韓国経済の牽引役を担い、世界経済をリードし、韓国経済に活力を吹き込むと確信しています。政府は創造経済が個人と地域経済の新たな成長エンジンになるよう、積極的に支援してまいります。
もう一つの翼は文化隆盛です。文化は言葉と国境を越えて世界の人々を一つにし、価値を共有させる強力な力を持っています。文化は計り知れない経済的価値を持つ国家競争力の核心的な源でもあります。大韓民国は5000年に及ぶ悠久の歴史による燦爛かつ独創的な文化を持っています。光復以降の韓国の急速な発展も、その根幹に綿々と続いてきた創造的な気質と文化的な力量があったからこそです。
世界が注目している韓国の悠久な文化を世界との交流のなかで花を咲かせる時、新たな飛躍の扉も開くことができるでしょう。政府はそのスタートを文化創造融合ベルトで切り開いていきます。文化とアイデア、技術を融合・複合し新しい経済的価値と雇用を産み出すよう進めてまいります。
未来を担う世代に希望の国を手渡す
創造経済と文化隆盛が経済の飛躍をリードする成長エンジンだとすれば、公共改革と労働改革、金融改革、教育改革の「4大改革」はその成長エンジンに持続的な動力を与える革新の土台です。
私は、必ずこの「4大改革」を成し遂げ、私たちの未来の世代に希望の大韓民国を手渡します。このために全国民がもう一度心を一つに力を合わせる時だと思います。私たちの先代が不屈のチャレンジ精神で危機を機会にしたように、自信と希望を持ち、心を一つにして再び飛躍の歴史を成し遂げましょう。
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真の光復は民族統一…「人道」を最優先に
尊敬する国民の皆様。
今年は、南北分断70年を迎える年でもあります。真の光復は、民族の統一によってはじめて完成します。南と北は、過去の傷を癒し、未来に向けてともに進んでいかなければなりません。
最近、米国とキューバの国交正常化やイラン核交渉の妥結でわかるように、国際社会は変化と協力の巨大な流れの中にあります。しかし、北韓はそれとは正反対の道を歩んでいます。
北韓は今、世界のどの国でも見ることができない粛清を強行しており、住民は不安におびえています。北韓は、我々の度重なる対話の申し入れに応じず、平和を壊して南北の統合に逆行しています。核開発を続け、サイバー攻撃を敢行し私たちと国際社会の安全を脅かしています。
先日はDMZ(非武装地帯)における地雷挑発で停戦協定と南北間の不可侵合意に真正面から違反し、民族の念願を踏みにじりました。政府は、我が国民の安全を脅かす北韓のいかなる挑発にも断固として対応します。
北韓は挑発と脅威によって体制を維持しようとする迷夢から覚めなければなりません。孤立と破滅を自ら招くだけです。しかし、北韓が対話と協力の道に出るならば、民生向上と経済発展の機会を得ることができます。
1972年、南北は分断の歴史上初めて対話を通じて平和統一を目指す共同声明を発表しました。
当時、南北の対立と葛藤の溝は今より遥かに深く、韓半島の緊張も非常に高まっていました。しかし、少しでもより平和な韓半島をつくり上げようとする意志があったからこそ、南北は勇気を出して向き合いました。
今も北韓には機会が与えられています。北韓は民族分断の苦痛をさらに重くする挑発と核開発を直ちに中断し、軍事的緊張の緩和と信頼構築の道に出てこなければなりません。私は今回のDMZにおける挑発を受けて、DMZに新しい平和地帯をつくることがいかに切実なことか改めて感じました。
非武装地帯を転換 命と平和の公園へ
皮肉にも世界でもっとも重武装されているDMZに一日も早く、平和の種を植えなければなりません。私は就任後、分断の象徴である非武装地帯に命と平和の公園をつくろうと何度も提案し、その構想を練ってきました。今や南北がともに着手することだけが残っています。
DMZに世界生態系平和公園をつくり、南北間の断たれた鉄道や道路をつないでいけば、韓半島は平和統一を促進しユーラシアレベルの協力を実現する新たな軸として発展していくはずです。
70年もの涙と苦痛の歳月を生きてきた離散家族の恨みを晴らすことにも、北韓は誠意ある姿勢で取り組まなければなりません。親のいない子はいないように、北韓の指導者たちも離散の恨みを晴らす問題だけは、いくら情勢が厳しく理念が対立しても、人道的な見地に立って根本的な解決策を探らねばなりません。
離散家族の生死の確認がその第一歩となります。そのため、私たちは6万人余りの南の離散家族のリストを北韓側に一括して渡します。北韓もこれに賛同し、南北の離散家族リストの交換が年内に実現できればと思います。さらに、離散家族が金剛山の面会所を使っていつでも会えるよう、北の協力を促します。
韓半島の自然災害や安全問題にも一緒に取り組んでいきましょう。洪水や干ばつ、伝染病など繰り返される問題に対し一時的な状況管理で対応するよりは、南北間の保健医療や安全協力体系を構築し、根本的に解決していくことが民族の将来に向けてより良い道になるはずです。
先般の中東呼吸器症候群への対応過程において、南北は開城工業団地の検疫管理に協力したことがあり、現在、金剛山における山林災害への対応に向けての協力を模索しています。このように保健・衛生・水資源・山林管理をはじめとする南北共通の問題に力を合わせていかなければなりません。
70年の分断によって毀損された民族の同質性も回復しなければなりません。民間レベルでの文化とスポーツ交流を通じて南北が接触し、心を開いて行けば、民族の同質性も徐々に回復するはずです。
南北の障壁にも関わらず、現在進められている歴史遺跡の発掘調査と民族語辞書の編纂事業といった学術文化交流、サッカーやテコンドーをはじめとするスポーツ交流は、中断なく進められるよう、積極的に努力して行きます。
南と北、海外の8000万の同胞の皆様。
たとえ南北関係が困難に処していても、分断の歴史を終え、平和統一を遂げる道は、我が民族が必ず進まねばならない道です。我が民族が再び一つになれば、希望と奇跡の、また違う歴史をつくることができます。「漢江の奇跡」を超え、「韓半島の奇跡」を遂げることができます。
平和統一を遂げた新しい韓半島は、核と戦争の恐怖を逃れ、8000万皆が自由と人権を享受する国になるはずです。統一韓国は、東アジアの平和を促進し、世界経済に新しい活気を吹き込む、地球村の新たな成長エンジンになるはずです。
南北の長所を結び付け、韓半島の交通網を大陸につなげ、ユーラシア大陸と太平洋の経済圏をつなげることで、韓国の企業はもちろん、国民の一人ひとりにより大きな機会を与えるはずです。
平和統一の夢を叶えた光復100周年を見据え、国民皆がともに統一を準備し、成し遂げましょう。
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韓日信頼関係の構築…互恵分野伸ばそう
尊敬する国民の皆様。
私はさる6月、韓日国交正常化50周年を迎え、新しい協力と共栄の未来に向かってともに歩んでいこうと述べました。韓国と日本の緊密な友好協力は、両国はもちろん東アジアの平和と繁栄に非常に大事だからです。
これまで政府は、歴史認識の問題には原則に基づいて対応するが、両国間の安保、経済、社会・文化など互恵的分野での協力関係は積極的に推進する、という立場を堅持してきました。1965年の国交正常化以来、河野談話、村山談話など、日本の歴代内閣が表明してきた歴史認識は、韓日関係を支える根幹でありました。
こうした点から、昨日の安倍総理の戦後70周年の談話は、我々としては物足りないと思う部分が少なからずあるのも事実です。歴史は包みかくそうとしても出来るものでもなく、生きている証人たちの証言として生きているのです。
それにもかかわらず、日本の侵略と植民地支配がアジア諸国の国民に対し多大な損害と苦痛を与えた点と、慰安婦被害者たちに苦痛を与えたことに対する謝罪と反省を根幹とした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものである、と国際社会に明確に述べているところに注目します。
日本が隣国として開かれた心をもって、東北アジアの平和を分かち合える列に入ることを心より望んでいます。日本政府は、歴代内閣の歴史認識を継承するという公言を、一貫し、誠意ある行動をもって支え、隣国と国際社会の信頼を得なければなりません。
日本政府には特に、日本軍慰安婦被害者問題を早期に、真っ当な形で解決することを望みます。沢山の困難は残っていますが、今や、正しい歴史認識を基に新しい未来にともに歩んで行かなければならない時です。国際社会での両国の位置づけに見合うよう、東北アジアと世界の平和と繁栄のために、ともに貢献していくことを期待しています。
尊敬する国民の皆様。
70年前の今日、私たちは失った祖国を取り戻しました。そして、屈しない意志と一つになった心をもって、数々の逆境を乗り越え、成就と希望の大韓民国を築きあげました。先代の愛国心とその偉大な志を引き継ぎ、韓半島の平和統一を遂げ、大韓民国の新たな飛躍を遂げることが、我々に与えられた使命です。
「100年の奇跡」果たすために力を
私と政府は、たゆまぬ革新をもって、持続的な成長の土台をつくり、世界に肩を並べる富強で原則が正しくたつ透明な国を建設していきます。確固たる原則と柔軟な対応をもって、統一時代の扉を切り開いて行きます。
国民の皆様。大韓民国「100年の奇跡」を完成し、韓半島の統一時代を切り開いて行けるよう、力を合わせて下さい。
我々皆が一つになって韓半島の平和と統一を成し遂げ、世界と地球村の繁栄を先導し、文化をもって人類に幸福を贈る、大韓民国の輝く未来をつくって行きましょう。
(2015.8.26 民団新聞)