掲載日 : [2020-03-11] 照会数 : 6468
宙に浮く「当然の法理」常勤講師でも管理職業務…在日教員が講演
【神奈川】外国籍を理由に管理職への道を閉ざされ、生涯給与で1800万円(横浜市)もの差が生じている「期限を付さない常勤講師」制度について8日、横浜市立高校に勤務する在日韓国人3世の教員(31)が相模原市内でその知られざる実態を語った。
相模原市教育委員会に「常勤講師」制度の撤廃を求めている市民団体「相模原在日外国人とともに生きる会」(内田清代表)が主催した。内田代表は「すべての外国籍者の公務就任権を確保するように」とした昨年8月の国連・人種差別撤廃委員会の勧告について、「日本政府だけを対象としたものではなく、教員採用をしている各地方自治体および教育委員会に対して出されたものだ」と注意喚起し、制度撤廃への理解を求めた。
講演した在日韓国人教員はSE(システムエンジニア)出身。横浜市の教員採用試験はトップの成績で合格した。
常勤講師は日本人教諭の指導・助言を受ける立場だが、「校内には私しか対応できない業務がある」という。例えば同校の成績管理システムづくりがその一つだ。カリキュラム検討組織に所属し、学校経営計画(グランドデザイン)をつくることもあった。
これらは本来、主幹以上の管理職が携わる業務だという。学校現場では「当然の法理」が機能していないのだ。講演では「常勤講師が校長の校務運営の補佐ならば、校長はともかく副校長や教頭は能力に応じてやったらよいのでは」と語気を強めた。
最後に「外国籍が管理職になってなにが問題なのか。なにも問題はないのです。被害者意識からではなく、授業で勝負したい」と講演を締めくくった。横浜市では中学校と高等学校に6人の外国籍教員が就労している。神奈川県内全体では9人を数えるといわれている。
(2020.03.11 民団新聞)