青年会中央本部(徐史晃会長)は11月24日、自らの民族性と向き合う「ウリミレ在日青年議会」を韓国中央会館で開催。1人の人間としてどう生きるかをテーマに各地で5月から開催してきた「全国リレーセミナー」で培ってきた学習・議論の成果を発表した。これは青年会中央本部結成35周年記念事業「ウリミレ祝祭」の一環。全国20地方本部から150人が参加した。
「ウリミレ在日青年議会」は参加者全員が「代議員」となり、「在日マニフェスト」提案者の議案について自由に意見を戦わせるというディベート企画。民族意識やアイデンティティーの希薄化・複雑化が叫ばれるなか、明日から自分はどう生きていくかを自らの問題として考えてもらう試みだ。
韓国語必修化環境整備が先
まず、兵庫本部の金陽信会長が、「明日から韓国語を必修化します」とした「マニフェスト」を発表。「賛成」、「反対」に分かれて活発な意見交換を行った。
賛成派は「言葉は自らのアイデンティティーを確立していくためのツールとして有効な手段。少なくとも、必修化することで学習の動機付けができる」と主張。これに対して反対派からは、「アイデンティティーの確立手段は言葉だけなのか」「韓国語を学べる環境や、機会の提供こそが急がれる」との反論があった。
討論半ばでは「強制はイヤ」という反対派が比較的優位だったものの、最終的な投票結果は「賛成」58、「反対」61と差はわずか。反対派の一部が賛成に回ったことがうかがわれた。
通称名廃止で社会変革迫る
もう一つのディベートテーマは、古くて新しい「在日と名前」の問題。神奈川本部の鄭榮誠会長が「明日から通称名を廃止します」を「マニフェスト」として掲げ、「子どもたちに私たちと同じ不愉快な思いをさせてもいいのか」と問題提起した。
反対派は仕事上や就職時のリスクを挙げながら、「リターンがないのに踏み切れるのか」と述べた。賛成派が日立就職差別裁判の判例をもとに「国籍差別は違法」と主張しても「強者の論理」と譲らなかった。
リスクだけでなく、通称名になじみ、愛着を持つという3世らしい声も根強かった。このほか、本名を名乗るにしても社会の環境が整っていないという発言も多かった。
これに対して賛成派は、「在日55万人が本名に変われば社会そのものが変わる。リスクは55万人で背負う」と提起すると、会場全体から大きな拍手があがった。「本名で生きられない社会をいつまで続けるのか。次の世代に負の遺産を引き継ぐのか」という意見も。
投票結果は賛成55票で反対44票を上回った。無効は3票だった。
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韓国大統領選にも注目
政策説明会
「ウリミレ在日青年議会」に先だって韓国大統領選挙政策説明会が23日、同会場であった。
はじめに、セヌリ党の朴槿惠候補と民主統合党の文在寅候補から寄せられたビデオメッセ‐ジが上映された。続いてセヌリ党を代表して沈允肇国会議員、民主統合党からは金星坤国会議員がそれぞれ、在外同胞政策、韓日関係、南北統一問題を中心に説明した。韓日関係で沈議員は経済を重視したのに対し、金議員は歴史認識の問題を強調した。
開会式典では、民団中央本部の呉公太団長が、「民団の中心にいるのは青年だ」と述べ、徐会長に激励金を手渡した。婦人会中央本部の余玉善会長も青年会の未来に期待の言葉を述べた。
(2012.12.1 民団新聞)