私は日本でスーパーに買い物に行く時、たいてい自転車に乗っていく。ときには近くの公園に行き、のんびりペダルをこぎながら季節の花々を楽しむこともある。
最近は本格的なスポーツ自転車を楽しむ人も増えており、利用方法はさまざまであるが、日本人にとって自転車は日常生活に欠かせない便利な移動の足であることは間違いない。
しかし、韓国では少し違う。私が韓国に行ったばかりの頃は、日本語教材のビデオの中で、女子高生が制服で自転車に乗っている姿を見た学生たちが「先生はスカートで自転車に乗りませんよね」と驚いた様子で言ったのが印象的だった。
当時、韓国学生たちにとって自転車は、それほど日常生活とは縁が薄いものであった。しかし、数年前からレジャーやスポーツを中心として自転車に乗る人が増えてきている。
たとえば、韓国の自宅近くの公園では、自転車のレンタルもあり、ソウルから春川に行くバス停で折りたたみ自転車をバスのトランクに入れている人を見たことがある。
おそらく春川の美しい景色のなかで、サイクリングを楽しむつもりなのだろう。
また、最近は移動の足として自転車を利用する人も増えてきた。私の学校でも学内を自転車で移動している学生がいたり、学内に駐輪場もできた。
先日も春川でサイクルウェアに身を包んだ男性がスポーツ型自転車に乗っていたり、友だちと一緒に自転車で移動している小学生のグループを見かけた。
このような自転車の普及の背景には、韓国の人々の健康志向や「グリーン成長戦略」(温暖化対策と経済成長を両立させるための国家戦略)などがあるようだ。この政策によって自転車道路の整備や駐輪場の設置などが計画され、韓国では4月22日が「自転車の日」と定められている。
08年の自転車保有台数をみると、日本の推定自転車保有台数が約8700万台であるのに対して、韓国の推定自転車保有台数は約800万台。
これを見ると、人口が違うことを考慮しても、数字の上ではかなりの差がある。しかし、今後韓国の自転車人口はさらに増え、日本のようにスーパーの前にたくさんの自転車が並ぶ日も遠くないかもしれない。
春川にも美しい湖の周りに自転車で走れそうな道がたくさんある。もう少し暖かくなったら私もチンダルレやケナリを見ながら、春のサイクリングを楽しみたいと思っている
齊藤 明美
(2011.2.23 民団新聞)