掲載日 : [2017-03-29] 照会数 : 8680
未来創造提言を実践…地方委(総会)2017年方針
民団の地方委員会(総会)が26日までに全国40地方本部で終了した。報告書によれば今年から来年にかけて、創団70周年を迎える地方本部が目立つ。「未来創造メッセージ提言」の具体化をめざし、各地で地域の実情に合わせた特色のある活動方針も出そろった。同胞大統合、次世代育成事業、韓日友好促進・共生促進などにどう取り組むのか。各本部の報告書をもとに簡略にまとめた。
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関東地協
支部活性化へ巡回活動
▽東京(金秀吉団長、25日=第57回)創団70周年記念式典を10月7日、都区内のホテルで開催。記念事業として『70年史』を発刊する。また、都内に残る在日同胞の歴史を忘れず、再確認するために史跡地の探訪と研修を企画している。
このほか、支部活性化へ巡回活動と合同事業の推進、事業支援金交付など。基本方針と当面課題を中心とした各種研修にも力を入れていく。
金団長は「人が集まってこそ組織であり、人が集まってこそ力になる」と持論を展開し、「これからも首都本部として誇れる実績を残していきたい」と意欲的に述べた。
▽神奈川(金利中団長、26日=第57回)神奈川県日韓親善協会と連携を緊密にヘイトスピーチの根絶に向けて川崎市をはじめ、県下自治体で条例の制定を最大の方針とした。
毎年開催している三ツ池公園での「コリアマダン」を今年も春と秋に開催するなど地域社会と一体となった草の根親善活動を展開する。また、朝鮮通信使のユネスコ世界記憶遺産登録の実現へ向け、今年も5月の「ザよこはまパレード」で大々的な朝鮮通信使行列を繰り出す。
団員の冠婚葬祭サービス事業として運営していた「むぐんふぁ神奈川」を昨年11月から「民団生活相談センター・むぐんふぁ神奈川」に刷新したことにより、同胞青年世代を対象とした婚活パーティーや就活支援も含めた新サービスを推進していくことにした。
次世代育成では夏休みを活用して4泊5日、オリニ母国訪問を開催する。金団長はヘイトスピーチ根絶に向けた条例化制定へ意欲を示した。
▽千葉(金鎭得団長、25日=第56回)多様化する同胞社会の要求に合わせ、支部の統廃合も視野に民団のあり方を再考していく。活動報告によれば、一昨年暮れに結成された千葉県議会日韓友好議員連盟との意見交換を双方合わせて82人参加のもとで開催した。これは今後の日韓親善事業の担保となった。
▽山梨(鄭郁団長、18日=第23回)「山梨コリアンアイデンティティー」確立への取り組みをスタートさせる。そのための写真・資料集の作成をめざす。
創団70周年の昨年度は、「おかげ様で70年」を合い言葉に過去、現在、未来を展望する「山梨コリア祭」を開催。新しい民団山梨のイメージを確立した。また、戸別訪問活動を強化することで団費収入の増加に結びつけた。
▽茨城(張仙鶴団長、26日=第54回)今年度が創団70周年の節目。記念誌の発刊と式典を計画している。報告事項および方針は、すべて原案どおり採択された。
▽埼玉(田 団長、25日=第70回)オリニを対象にした事業に力を入れた。歴史探訪では、保護者とともに6月に日光東照宮、10月に高麗神社ともゆかりのある大磯の高来神社を訪れた。夏季キャンプと冬の集いにそれぞれ30人以上を集め、次世代育成を着実に進めている。
ヘイトスピーチ根絶に向けた地方議会対策では、県庁所在地のさいたま市をはじめ13自治体が意見書を採択している。新規定住者の入団を図るため、新旧定住同胞和合・交流の集いを2回開催し、統合に向けて努力している。
▽西東京(全實団長、25日=第65回)全団長がオリニを含む次世代の育成に力を入れていくと述べた。活動報告では日韓親善協会の再建が成果として強調された。
▽長野(朴永大団長、26日=第69回)日韓協の支部設立に取り組む。昨年の松本広域支部に続き伊那駒ヶ根、諏訪、長野市で設立をめざす。
関連して地元自治体とソウル市・江原道との間で親善交流が進むよう積極的に協力していく。また、訪日韓国人客増へ向けた松本空港チャーター便への協力。来年に迫った平昌冬季オリンピックの広報にも努力する。
このほか、創団70周年を来年に控え、記念誌の編さんを準備。また、効率的な団員管理システムの構築も課題だ。
▽群馬(朴旋用団長、26日=第1回)同胞家庭への戸別訪問を継続し、日本籍同胞や新定住者にも民団組織の存在をアピールしていく。国立ハンセン病療養所などで余生を送る同胞高齢者への慰問、支援を続ける。次世代育成へ学生会のジャンボリーを活用する。
▽静岡(姜再慶団長、19日=第62回)創団70周年を迎え、組織改革と在日同胞社会の大統合を進めていく。基本は戸別訪問活動。東海地方で起こると予想されている大地震に備え、国民登録名簿の整理と緊急連絡網の構築も急ぐ。
記念事業として県内の日韓親善協会と経済機関、文化団体、行政機関と共に訪韓し、県と忠清南道の友好交流を促進する。
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東北地協
韓日友好と共生を促進
▽宮城(金政郁団長、25日=第61回)創団70周年記念事業を18年1月27日、仙台市内のホテルで予定している。具体的案は今後、実行委員会(延山剛実行委員長、宮城韓国商工会議所会長)で詰めていく。このほか、韓国・花峰小学校との国際交流事業母国訪問団、東北地協次世代育成プロジェクトセミナー、宮城県・仙台市日韓議員連盟との交流事業など。
▽北海道(李圭亮団長、23日=第56回)重点事業の次世代育成は、オリニサマースクールとオリニウインターキャンプがメーン。なかでもウインターキャンプは今年、参加人数が倍に増えた。このまま青年会につないでいく。同じく重点の韓日友好促進事業は「韓国家庭料理とマッコリをたのしむ会」「韓国料理教室」を行う。
▽岩手(申百団長、24日=第23回)活動方針は創団70周年記念事業、日韓親善県議会議員連盟の訪韓団派遣、活動を再開した岩手韓商への支援、次世代育成など。昨年は熊本地震被災同胞への義捐金として200万円を中央に送金した。
▽福島(金仁河団長、16日=第62回)昨年に続きスポーツを通じた韓日交流の集いを行う。17年度は韓国各地3カ所の高校から参加を予定している。16年度は韓国・果川高校から生徒たちが来福して白河市で剣道の「登龍杯」に参加したほか、仙台育英高校との間で合同交流試合も行った。このほか、徴用同胞犠牲者の慰霊祭、東日本大震災被災者への支援も継続。
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中北地協
次世代育成事業に全力
▽愛知(朴茂安団長、26日=第65回)次世代育成を中心とした創団70周年記念事業を展開していく。主なものは民団愛知独自の「オリニ母国訪問団」の実施、ハイキング大会、釣り大会など。本・支部職員のスキルアップをめざした研修も行う。朴団長は「記念事業を通じてたくさんの団員に参加してもらえるようにしていく」と述べた。
▽岐阜(董勝正団長、25日=第73回)事務のIT化を図り、名簿の整理、団員とのネットワーク網を構築していく。董団長は「子どもたちの拠り所となるような民団にしていきたい」と抱負を述べた。
▽三重(殷慶基団長、26日=第59回)来年、三重本部の創団70周年を迎えるにあたり、今年1年間、記念事業の準備に取り組む。韓日親善活動は在日同胞も含めた韓日青少年交流など草の根活動を展開する。36回目を迎える10月のマダン・三重県韓国人大運動会も例年以上の規模で開催する。
昨年進めていた会館の補修工事が完了したことで、地域社会とのネットワークを広げるため、韓国語教室をはじめ韓国料理教室やポジャギ教室など、文化サークルを拡充することにした。次世代事業としてオリニボウリング、「韓日オリニ在日の軌跡を知るフィールドワーク」を開催する。
故韓久事務局長の後任として梁?碩氏を任命した。
▽石川(金沂秀団長、26日=第4回)昨年度は尹奉吉義士記念碑保存事業と韓日友情祝祭10月マダン民団祭を実施した。今後は韓国からの留学生との交流を通じた3、4世世代の育成に意欲を燃やしている。
▽福井(尹鐘鎭団長、24日=第1回)韓国の文化に親しみを持つ市民でつくる「観光文化サラン房」の活動を支援。韓国ツアー、物産展、料理教室、韓国語講座などで韓日交流を進めていく。
▽富山(金仁団長、25日=第6回)昨年度は韓日交流友好事業「K‐フェスタ」を成功させた。これからも韓日交流事業に力を入れていく。
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近畿地協
ヘイトスピーチ根絶へ
▽大阪(鄭鉉権団長、18日=第63回)鄭団長は「現在の基金を無駄に眠らせず、支部の有給実務者の働きかたも抜本的に改革していく。そうすれば自立財源を確立することは可能。民団の社会的役割を大きく果たすことができるだろう」と強調した。これと関連して「健全な団務運営に関する指針」が全会一致で採択された。朴英哲副団長は同委員会を最後に退任。後任に権伍日・民主平統諮問会議近畿協議会会長が任命された。
▽兵庫(李圭燮団長、19日=第59回)今年度活動方針は各政党との政策懇談会の継続、神戸総領事館管内の各民団合同による「大運動会」の開催、オリニ冬季キャンプなど。地域在日同胞社会の活性化と防災体制の確立にも尽力する。李団長は「兵庫県でもヘイトスピーチ対処条例制定に向けた働きかけをしていく。団員が民団に足を運んでくれるような事業も展開していく」と述べた。
▽京都(河相泰団長、25日=第66回)活動方針は在日同胞現況調査の継続、同胞交流ハンマダン(野遊会)の開催、京都コリアフェステイバル「朝鮮通信使京都再現行列」の実施など。朝鮮通信使再現行列は「2017朝鮮通信使ゆかりのまち全国交流会」に合わせての開催となる。昨年設立された「民団京都新会館・建設委員会の設立」のための準備委員会(金有作座長=同本部常任顧問)からは民団の役割やビジョンなどについて報告があった。
河団長は「新会館建設のための準備委員会で早急に方向を定め、夢や希望、活力あふれる民団を実現したい」と述べた。
▽奈良(黄泰壽団長、26日=第62回)活動方針は地域在日同胞への生活支援事業、地域在日同胞のネットワーク化事業推進、日韓親善活動、文化振興事業など。
▽滋賀(朴鍾文団長、26日=第58回)集中戸別訪問活動により団員の拡大を図るとの活動方針を決めた。朴団長は「大統領選挙には必ず投票してほしい」と呼びかけた。
▽和歌山(孫文敏団長、26日=第55回)5月に大邱市から七星初等学校の6年生児童23人を招請。和歌山本部校区内の和歌山市立広瀬小学校との野球交流を図る。同本部は草野球チームを持ち、韓国の社会人チームと定期的に交流試合を重ねており、今年が3回目。本国に民団をアピールする機会になればと考えている。このほか、同本部が運営する韓国語講座の拡充も図る。
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中国地協
在日同胞大統合へ努力
▽広島(李英俊団長、18日=第58回)17年度は伝統舞踊、伝統工芸、韓国語スピーチ大会、映画会などを計画している。活動報告によれば、原爆被害者への支援を通じた地域社会との共生事業を推進してきたほか、在日同胞社会大統合をめざした新定住者との交流拡大に努力した。
▽岡山(宋燦錫団長、25日=第55回)重点方針は新定住者、日本籍同胞を視野に入れた「在日同胞社会の大統合」と組織研修。宋団長は「次世代育成事業に参加した人材を積極的に民団に取り込む。とにかく人が集まる民団に」と述べた。
▽鳥取(薛幸夫団長、19日=第1回)初めての総会制で開催。規定を大きく上回る参加者があった。活動報告、決算、新年度活動方針、予算案とも原案どおり承認された。銓衡委員会の協議の結果、新たな立候補者がなかったため、現三機関長が引き続き1年の任期を付託された。
▽島根(金吾男団長、5日=第2回)韓国伝統舞踊、韓国伝統工芸、韓国語スピーチ&ノレバンコンテストなどの多文化共生事業を積極的に推進。ヘイトスピーチ対策でも市民団体との共闘で進めてきた。17年度は6月に松江市国際交流会館で「ハンマウム映画祭」を計画している。このほか、大田支部の本部直轄案が承認された。
▽山口(姜昌憲団長、26日=第57回)日本の植民地時代に宇部の炭鉱に連行され、海底炭鉱事故で亡くなった同胞を悼む「長生炭鉱追悼式」を広島総領事館主催で実施し、3機関長、婦人会長らが参列した。歴史を風化させない取り組みの一方で、「朝鮮通信使」のユネスコ世界記憶遺産化に向けて、雰囲気づくりの一環として今年も8月の馬関まつりで朝鮮通信使行列の再現を実施することを決めた。また、下関市と釜山市の姉妹都市を記念し、韓日友好行事として祝う「リトル釜山フェスタ」にも参加する。
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九州地協
地道に戸別訪問を継続
▽福岡(李相鎬団長、18日=第62回)李団長は民団と日本籍同胞、新定住者との垣根を取り払い、大同団結していくことを強調した。また、日本人との「多文化共生社会の実現」にも努力していくと述べた。主な活動方針は地域同胞とのネットワーク化事業推進、多様な多文化共生事業の推進、韓国語講座の充実、「土曜学校」の推進、慰霊事業など。
▽長崎(姜成春団長、26日=第61回)次世代育成運動、韓日友好・共生促進、在日同胞社会大統合を柱とする活動方針を採択した。姜団長は同胞生活支援に努めたいとあいさつした。
▽佐賀(鄭清俊団長、26日=第63回)重点方針は韓日友好「第12回ふれあい交流マダン」とオリニキャンプ。鄭団長は「戸別訪問で在外選挙への参与を呼びかける」と述べた。
▽宮崎(李相団長、25日=25回)「地域と共に」を合い言葉に、昨年初開催した「日韓友好の夕」を今年も開催する。サムルノリや韓国古典舞踊グループも招請し、スケールアップしていく。組織強化の一環として新定住者を中心に戸別訪問していくことも確認した。
▽熊本(金泰 団長、20日=第1回)熊本地震で被災した同胞への支援を継続しながら、被災本部会館の建設もめざす。このほか、引き続き韓日文化交流マダン事業に取り組む。
▽鹿児島(金範哲団長、19日=第23回)今年度も戸別訪問を継続して団員との接点を拡大し、地域同胞社会の活性化を図ることとした。関連してカラオケ大会も計画している。「美山韓国人先祖慰霊祭」は継続事業。
▽沖縄(金仁洙団長、14日=第11回、写真)過疎本部ながらオリニジャンボリーに11人、次世代訪問にも4人が参加した。今年度も那覇祭り「民俗伝統芸能パレード」やコリアンフェスティバルで地域社会との交流を促進していく。
韓国人慰霊塔慰霊祭、年間40万人と増加一方の韓国人旅行者を対象とした支援センター活動も継続していく。
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四国地協
▽香川(韓大圭団長、12日=第2回)韓団長が「地域社会の発展と共存共栄のため、引き続き貢献していく」と強調。また、「民団が地域同胞の憩いの場となるよう努力していく」とあらためて決意を述べた。
事業報告・決算、活動方針案・予算案などはすべて原案どおり採択した。
▽徳島(姜盛文団長、26日=第3回)昨年は同胞独居老人宅60軒を訪問し、それぞれ米30㌔を届けた。「助け合いの精神と奉仕の心」を忘れず、今年も継続する。また、新定住者との融和にも力を入れ、スポーツ大会や花火大会を開催した。数こそ少ないが、新しい団員も増えている。
(2017.3.29 民団新聞)