掲載日 : [2017-03-02] 照会数 : 5061
<ルーツ>昔の戸籍からルーツをたどりたい
私は幼少時に父母と共に日本に帰化した在日同胞三世です。亡くなった父の遺品を整理していたら、「朝鮮」といった漢字や日本語のカナの他、ハングルらしき文字も混在している縦書きの古い書類が出てきました。おそらく本国の昔の戸籍だと思うのですが、何が書いてあるのかよくわかりません。できればその内容をきちんと把握し、さらには今後自分のルーツを調べてみたいのですが、どうすればよいでしょうか?
【回答】
その書類はおそらくお父様が生前に本国から取り寄せた戸籍謄本です。また、その編製時期は日帝強占期です。当時の「朝鮮戸籍」が朝鮮総督府の監督下で編製され日本語(漢字+カナ)により記載されていたことからの推察です。
また、ハングルが混在しているのは、光復以後は戸籍記載が韓国語(漢字+ハングル)によりなされるようになったためです。
その戸籍を基にご自身のルーツを調査できる可能性があります。具体的には、韓国総領事館で「除籍謄本」の発給を申請してみるという方法によります。
そこで、お父様の遺品であるその書類をご持参の上、最寄りの韓国総領事館を訪ねてみてください。なお、その際には以下の資料も併せてご持参ください。
①運転免許証等の公的な身分証
※本人確認資料として提示が求められます。
②帰化した際最初に作られた日本の戸(除)籍謄本(帰化事実が記載されたもの)
※お父様との父子関係及びご自身が日本に帰化した在日同胞であることの立証資料としてコピーの提出が求められます。
領事館に出向かれたら、「自分のルーツを可能な限り遡って調べるため『除籍謄本』の発給を受けたい」旨、来館の目的をお伝えください。担当の職員の方がその趣旨に沿った戸籍を可能な限り遡って入手するための方法について指導してくださるものと思います。
※なお、東京・大阪・福岡の韓国総領事館は本国所在の電算システムとオンライン接続されており直接戸籍の検索が可能なため、該当する戸籍があればその謄本を即日発給していただけます。一方、上記3カ所以外の総領事館の場合、申請書を領事館から本国の大法院あてオンライン転送し、該当する戸籍があればその「除籍謄本」が大法院から領事館あてオンライン転送されてくる「公認電子郵便方式」と呼ばれる方法が採用されているため、謄本の即日発給はなされず、数日程度の期間を要することになります。
上記の方法で過去に遡った「除籍謄本」が入手できたら、まずはその内容を確認してみてください。上述の通り、日帝強占期に編製された戸籍は日本語(漢字+カナ)での記載比率が高いため概略的な内容把握だけなら自力でも十分可能かと思われます。
ただ、古い戸籍は画質劣化で文字が判読しづらい上、「創氏改名」に関する特殊な記載等もあるため、すべての内容を正確に把握するには当時の民事や戸籍の制度に関する専門知識がないと困難です。そのため、可能な限り正確かつ詳細な情報を把握されたいとご希望でしたら専門家のサポートを受けることも検討なさってみるとよろしいと思います。
例えば、韓国戸籍全般に関する高度な知識を持った専門相談員が配置されおり無料相談も可能な「みんだん生活相談センター」を活用してみるのも一案です。