掲載日 : [2021-02-25] 照会数 : 5764
3・1運動研究書出版… 日本版、韓日から11人参加
韓国と日本の両国から研究者合わせて11人が参加した3・1運動に関する国際共同研究書『三・一独立万歳運動と植民地支配体制~国民意識の誕生』の日本語版がこのほど出版された。
韓国語版は同運動から100周年を記念してすでに2019年に刊行されている。1年遅れとなった日本語版の出版にあたっては日本社会に向けた改訂増補版とした。共同編者である李泰鎮ソウル大学名誉教授の追加論文を「特別寄稿」とし、新たに第5部を設けてそのなかに位置づけた。
共同研究は李教授が14年、3・1運動に関する膨大な裁判資料の収集と整理を続けていた日本の法学研究者で国際基督教大学の笹川紀勝名誉教授に3・1運動に関する共同研究を提案したのが始まり。
2人は01年に組織された国際学術会議チーム「韓国併合に関する歴史的、国際法的再照明」で中心的な役割を果たした。学術会議の成果は「国際共同研究 韓国併合と現代‐歴史的国際法的再検討」と題して共同編集した。日本の学者はチームに参加しても消極的な姿勢を見せていたが、笹川名誉教授だけは歴史学者の荒井信一教授(故人)とともに最後まで参加し、李教授の信頼を得た。
笹川名誉教授は韓国で記者から3・1運動に関心を持った特別な理由を聞かれ、以下のように答えている。
「韓国の現行憲法が3・1運動で建立された大韓民国臨時政府の臨時憲法を引き継いでいるという事実を知った。日本の現行憲法はマッカーサー軍政が(主導して)つくったものである一方、韓国の憲法は日本帝国主義の圧政に抵抗して勝ち取った憲法だという差を発見して大きな衝撃を受けた」
李教授はこの発言に、「全身に鳥肌が立つ感じがした」。韓国のどの法学者からも聞いたことがなかった評価だったからだ。笹川名誉教授の発言は今回の記念論文集を企画するのに大きな影響を及ぼしたという。
李教授は3・1運動について「挙国的な万歳デモ、その力で大韓民国という新しい国家が誕生したとすれば国民運動としての性格は当然検討されなければならない問題である。しかし実際には民族運動の観点だけがあった。国民運動の観点がなかったのはなぜであろうか?」と問題提起している。
共同編集者としてこのほかに都留文科大学の邊英浩教授も加わった。
税別8800円。明石書店(03・5818・1171)。
(2021.02.24 民団新聞)