詩人の王秀英さん(東京都調布市)がソウル市在住の金后蘭さん(「文学の家」理事長、芸術院会員)の詩集を日本語で紹介し、国際PEN韓国本部の主宰する第45回「PEN翻訳文学賞」に選ばれた。同賞は「PEN文学賞」のなかでも最も歴史が長い。
受賞作は詩集『光と風と香り』。金さんが日本で出版したいと、王さんに日本語の翻訳を依頼したのが始まり。これが世界に韓国文学を知らせることに力を入れている韓国翻訳院の目にとまり、昨年10月、東京・新宿の土曜美術社出版販売から刊行された。
詩集は同出版社経由で各地の詩人に贈られ、静かな反響を巻き起こした。王さんは、「金さんの詩に込められた自然愛、生命愛、平和愛と、豊かな感性が日本人の心を打ったのではないか」と話している。
ある読者は「いま日韓関係が最悪の時にこの詩集を読んで心が震えました。政治的なことはわかりませんが、詩を読みながら日本人と韓国人は同じ感性を持っていると思いました。この詩集は韓国に対する偏見をなくしてくれました。詩人の力は偉大です」と感想を書き記した。
施賞式は12月17日、ソウル市内で行われた。審査にあたった関係者は、「韓日関係が最悪の時代だからこそ、今度の日本語翻訳詩集はとてもタイムリーだ」と王さんに感想を語った。
王さんは延世大学卒業。韓国で尚火詩人賞、月灘文学賞、国際交流作家文学賞、韓国文学賞など、日本でも石川啄木賞を受賞している。
(2015.1.15 民団新聞)