韓国をはじめヨーロッパでも高い評価を得ているホン・サンス監督の映画「自由が丘で」が、シネマート新宿(東京)ほかで順次公開されている。
2014年、フランスのナントで開催された第36回ナント三大陸映画祭(11月25日〜12月2日)で、最高賞の「金の気球賞」を受賞した。
主人公モリを演じるのは、クリント・イーストウッド、ミシェル・ゴンドリー、ガス・ヴァンなど、世界の名だたる監督たちの作品に出演する日本人俳優の加瀬亮さん。
かねて「ホン・サンス監督のファン」と公言していた加瀬さんが、ホン監督と初めて会ったのは、2012年「3人のアンヌ」のプロモーションで来日していた際の対談だった。意気投合し、その場で作品出演のオファーを受けた。
思いを寄せる年上の韓国人女性、クォン(ソ・ヨンファ)を追いかけ、ソウルの坂道と路地の多い迷路のような街にやってきたモリ。彼女を探すが、見つからない。宿泊先のゲストハウスに泊まっている男(キム・ウィソン)と毎晩のように飲んでは語りあい、カフェ「自由が丘」の女性オーナー(ムン・ソリ)と急接近する。
この映画は、モリがクォンに宛てた日記のような手紙を受け取った彼女が落とし、順番がバラバラになった手紙を軸に、モリが滞在した2週間のエピソードが紹介される。物語の時系列はバラバラになっている。
作品のひとつのテーマは「時間」。
ホン監督は「時間の流れから、その断片を少し解放させることで、私たちは同じ時間を少し違ったものとして体験することができる。そこから今までとは違った見え方や行動が生まれる」と話す。ホン監督の遊び心あふれる仕掛けがつまった作品だ。
劇場情報は「自由が丘で」オフィシャルサイト(http://www.bitters.co.jp/jiyugaoka/)。
(2015.1.15 民団新聞)