掲載日 : [2003-01-15] 照会数 : 3732
韓国の「若者革命」 岡本健吾(NHKソウル支局記者)
大統領選挙の投票前日の夜、大ニュースが飛び込んできた。盧武鉉氏と一本化した鄭夢準氏が、支持を撤回したというのだ。これで李会昌氏に決まったと我々は思った。 盧武鉉氏は何度も壁にぶつかっては乗り越えてきた。その底力と、若者や庶民が盧武鉉氏を支持する気持ちは理解しながらも、内紛の民主党を抱え、一枚岩で強大な組織力を誇るハンナラ党に勝つことは、正直、半信半疑だった。
支持撤回の背景に「鄭夢準氏が次の大統領というのはまだ早い」という盧武鉉氏の発言があったことがわかり、「軽率な発言で自爆した」と思ったのだ。
しかし結果は大方の予想に反するものだった。急遽ハンナラ党の担当に変わった私の予想は外れ、なぜ勝てたのか、疑問が残った。
後日、以下のことがわかった。午前中の出口調査では李会昌が有利だったが、午後若者たちが大挙して投票し逆転したこと。「投票に行こう」「盧武鉉を救え」というネット上の呼びかけで若者たちが反応したという。また、反米運動で人気を集めた第三の候補・権永吉氏の支持者が、李会昌氏の当選を阻むために盧武鉉氏支持に回ったこと。また、李会昌氏の支持者が勝利を確信して棄権したこと、なども影響したようだ。
今回の選挙は、政治に無関心だった若者、政治に夢を失いかけた庶民が、原則を貫く盧武鉉氏に、既成の権威主義的な政治ではない、新しい政治を求めた「革命」だと私は思っている。盧武鉉氏には、若者や庶民の期待を裏切ることなく、果敢に政治改革を実行に移すことを期待したい。
(2003.01.15 民団新聞)