掲載日 : [2019-05-10] 照会数 : 11348
朝鮮通信使再現 釜山で祝祭…市民1500人〝平和の行列〟
[ 朝鮮通信使行列の再現パレード ] [ 龍頭山公園での出発セレモニー ] [ 復元された朝鮮通信使船 ]
ユネスコの世界記憶遺産に登録されている韓国と日本の友好関係のシンボルとされる「朝鮮通信使」を再現する祝祭が6日までの4日間、釜山市で開かれた。当時の行列を再現した恒例のパレードのほか、通信使が玄界灘を渡る際に使った船を実物大で復元した木造船も登場。韓日間で外交関係が冷え込む中、民間交流を絶やすまいと民団中央本部の呂健二団長をはじめ、長崎県対馬市や北九州市、静岡市など朝鮮通信使の縁地からも代表者らが訪れ、友好・親善の絆をアピールした。
このイベントは、17世紀初めから約200年にわたって、韓国から日本に文化を伝えた「朝鮮通信使」行列を再現し、韓日交流の促進につなげようと2002年から行われている。
今年は、「過去を通じて未来に」をテーマに、龍頭山公園と光復路一帯で開かれ、祭りのハイライトでもある朝鮮通信使行列の再現パレード「朝鮮通信使 平和の行列」〓写真上〓は、市民およそ1500人が朝鮮通信使に扮した伝統衣装を着て4日午後2時ごろに龍頭山公園を出発し、光復路を経て、釜山港沿岸旅客ターミナルまでの約2キロを練り歩いた。
行列の出発式には日本から訪れた民団中央本部の呂健二団長、対馬市の比田勝尚喜市長、朝鮮通信使縁地連絡協議会の松原一征理事長、静岡市の小長谷重之副市長らが釜山市長らとともに龍頭山公園の鐘閣の大鐘を突いて出発の合図を遂げた。
また、今年の祭りでは、朝鮮通信使が乗った朝鮮通信使船の復元船が初めて登場し、注目を集めた。この復元船は、国立海洋文化財研究所が実物大で再現したもので、全長34・5㍍、総重量149㌧、定員72人。
再現船の企画と制作を務めた国立海洋文化財研究所では「4年間、設計図を24回修正して、最大限原型に近く再現したが、何よりも苦労したのは樹齢70~130年の金剛松(赤松)900本を集めることだった」と説明している。
この日、市民体験イベントとして3度の試乗会が行われたが最終便の出航前に朝鮮通信使出港セレモニーが行われた。午後2時に龍頭山公園を出発した通信使行列が旅客ターミナルに到着し、朝鮮通信使3使(正使・副使・従事官)と呂健二団長ら韓日両国の来賓が搭乗した。この船は正使が搭乗したことを知らせる「正」の字の旗を掲げながら釜山港を出発した。
この船は今年8月に対馬島で朝鮮通信使の行列再現などが行われる「対馬厳原港まつり」に初めて日本に入港し、来年には東京五輪に合わせて、釜山~対馬~大阪の巡回を13回に渡って運航する予定だ。
朝鮮通信使は1607年から1811年までの204年間に渡り計12回来日し、豊臣秀吉の朝鮮出兵による壬辰倭乱(文禄・慶長の役)で悪化した両国の関係を修復した。
(2019.05.10 民団新聞)