掲載日 : [2023-05-24] 照会数 : 2001
尹大統領、被爆同胞と初の面会 「伺うの遅くなり申し訳ない」
[ 被爆同胞の朴南珠さんの手を取り話しかける尹大統領(大統領室提供) ]
尹大統領は広島で開かれた主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)に招待国として参加するため19~21日の日程で広島を訪問し、岸田文雄首相と21日に首脳会談を行った。19日には同胞被爆者ら10人とその子孫、民団広島地方本部幹部など約20人と面会した。韓国の現職大統領が広島で被爆した被害同胞と面会するのは尹大統領が初めて。また21日は、岸田文雄首相と共に広島市内の平和記念公園にある「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」を訪問、参拝した。韓国大統領の慰霊碑訪問は初めてで、両国首脳がそろって同慰霊碑を訪問するのも初となった。
広島市内のホテルで19日、同胞原爆被害者たちに会い、「悲しみと苦しみを味わった現場で、故国が手を差し伸べられなかったことを心からお詫び申し上げる」と述べた。
尹大統領は、広島周辺に居住する同胞原爆被害者10人とその子孫、民団広島地方本部幹部ら約20人と面会し、「わが同胞が原子爆弾で被爆された時、私たちは植民地状態にあり、解放を経て独立したが、国に力がなく共産主義勢力に侵略され厳しい状況だった。同胞が他国で苦難と苦痛を受けているのに、大韓民国政府、国家が皆さんのそばになかった」としてこのように述べた。
そして「犠牲になった同胞たちにお悔やみを申し上げ、皆さんに慰労を伝えたい」と語った。
尹大統領は「大韓民国の大統領として遅ればせながらお目にかかり、申し訳ない」と重ねて頭を下げた。尹大統領はまた、21日には岸田文雄首相と広島平和記念公園の韓国人被爆者慰霊碑を韓国大統領として初めて参拝する予定であることにも触れ、「私と岸田首相が慰霊碑の前で故郷を離れ、異郷の地で戦争の惨禍を直接経験した韓国人原爆犠牲者を追悼し、両国の平和と繁栄の未来を切り開くことを共に誓う場になるだろう」と述べた。
尹大統領は「被爆同胞とその方々の家族、民団と同胞関係者の方々が近いうちに韓国を一度訪問するよう招待したい」とし、「故国に足を運び、母国がどれほど変わり発展したのかぜひ一度見ていただきたい」と述べた。
参加した権養伯元韓国人原爆犠牲者慰霊碑移設委員長は「私も2歳の時に被爆した。今日は夢を見ているようだ。感激している」と感謝の意を表した。さらに「過去のことについてあまり問い詰めないで、あまり縛られることなく、前を向いて行きましょう。二度とこのような悲劇が繰り返されることのないよう互いに協力しましょう」と語った。
韓国原爆被害者対策特別委員会の権俊五副委員長は「尹大統領が広島の被爆者に会ってくれたことが韓日関係の発展に貢献すると信じている」と述べた。
被害者が高齢化
補償体制作り急務
第二次世界大戦末期の1945年8月、人類史上初めて広島と長崎に落ちた原爆による被爆者は69万人、このうち死者は23万人と推計される。これらの地域に強制動員労働者として居住していた韓国人被爆者の規模は7万人に達し、この内4万人が死亡した。
調査によると、被爆生存者のうち帰国したのは2万3千人、現地に残ったのは7千人だ。両国に散らばった被害者たちは体内に放射能が残っているかもしれないという恐怖心に苦しみ、結婚、就職など各種差別に直面してきた。原爆被害者に実質的な支援策が導き出されるためには韓日政府の協力が必要だ。高齢の被害者と被爆2、3世たちは数十年間にわたり補償支援体系作りを求めてきた。
この日の面会には大統領夫人金建希女史も同席した。
(2023.5.24民団新聞)