「韓国併合」から100年を迎え2010年5月にソウルと東京で発表された「韓日知識人共同声明」の意味と、その後の経過を踏まえて、韓日関係の課題および解決法を提示した論集である。「共同声明」の起草、発表に関わった両国の有志が共同で編集、14人の論文を収録した。
「併合条約は元来不義不当であり、当初より無効である」とする同声明の署名知識人は歴史学者を中心に両国あわせて1000人余りにおよんだ。だが、日本での報道は韓国と対照的に小さかった。
その後、12年夏から13年にかけて、独島(日本名竹島)問題、慰安婦など歴史問題が再燃し、両国政府関係は一挙に険悪化した。こうした中で編者らは「共同声明」の精神に則して、両国民の和解と協力を求め、15年の「戦後70年、日韓条約50周年」の年を新たな心で迎えるように努力していかなければならないと呼びかけている。
金泳鎬檀国大学碩座教授は、「共同声明」の論拠と意義を整理するとともに、「いま東アジアが最も恐れているのは日本の内的オリエンタリズムと中国の中華主義の復活」だとし、「克服するために最も重要なのは東アジアの市民連帯である。覇権主義のないシビルアジアのために、韓日市民連帯を促すことが韓日知識人共同声明の真の射程だろう」と主張している。
和田春樹、内海愛子、金泳鎬、李泰鎮編
岩波書店
(2900円+税)
03(5210)4000
(2014.7.16 民団新聞)