掲載日 : [2023-01-18] 照会数 : 1670
「大阪歴史資料館」開館へ 有志法人 御幸通商店街に
[ 「大阪コリアタウン歴史資料館」の前に立つ洪性翊代表理事。手前は金時鐘さん「共生の碑」 ]
【大阪】キムチを中心とする韓国の食材や化粧品などを扱う約120店舗(2019年調査)が東西500㍍にわたって軒を連ねる全国有数のコリアタウン、大阪市生野区御幸通商店街の一角に今春、「大阪コリアタウン歴史資料館」が開館する。当面の必用資金3000万円は運営主体の「一般社団法人大阪コリアタウン歴史資料館」(洪性翊代表理事)が草の根募金で集めた。
コリアタウンから「在日」の足跡学ぶ
歴史資料館は画家でもある在日3世の洪代表理事(66)が普段、作業場として使っているアトリエを無償提供した。内部は庭を合わせると約80坪ほど。平屋とはいえ、天井が高いため、思った以上に広く感じられる。
当初は「在日歴史資料館」をめざして準備してきたが、「韓流ブーム」の影響を受けてコリアタウンを訪れる10~20代が抵抗なくすっと入れるようにとあえて「コリアタウン歴史資料館」とした。これは「一社大阪コリアタウン歴史資料館」を構成する理事11人の総意だった。
展示資料は過去のスライド写真とコリア関係の文献・資料が中心。文献は併設するカフェでも読める。なかには、かつて「猪飼野」と呼ばれた時代の看板など貴重な遺物の数々も。デジタルネイテイブ世代を意識して過去の写真はアイパッドを使っても鑑賞できるよう工夫した。
気軽に鑑賞してもらいながら、コリアタウンの歴史は在日が苦難の末に築いてきたものであることを理解できるようにした。最終的にめざす目標は手を携えて街づくりに貢献していこうという未来志向だ。
コリアタウンに「在日歴史資料館」を建設するのは先代の洪呂杓さんの念願だった。地元で韓国食材店「徳山商店」を長年営んできた洪呂杓さんと妻の康安子さんは修学旅行や校外学習で立ち寄る児童・生徒たちの「案内役」を引き受けてきた。
商店街にはゆっくり休める公共スペースがない。「せっかく遠くから来てくれたのに店先で立ったまま説明を聞いてもらうのは忍びない」と私財をはたいて03年、「食の体験パビリオン」やホール、美術展示スペースを備えた鉄筋3階建ての「班家食工房」を開設したほど。
だからこそ、洪代表理事から歴史資料館の建設構想を打ち明けられた康安子さんは真っ先にタンス預金1000万円を差し出したほど。開館後は安定した運営のため別途、賛助会員制度を設けることにしている。
「大阪コリアタウン歴史資料館」は大阪市生野区桃谷4丁目4番1号。oktm0609@gmai.com
(2023.1.18民団新聞)