掲載日 : [2018-10-24] 照会数 : 6375
「北送同胞」も政治課題に…来年60年、シンポジウムで提言
「北韓は地上の楽園」との甘言で騙し、9万人以上の在日同胞と日本人妻らを1959年から北韓に送還した「北送事業」から来年で60年を迎える。北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会(佐伯浩明代表)は6日、東京都内で「予期される日朝首脳会談を前に在日帰国者らの帰国・里帰りを求める」シンポジウムを開催した。民団中央本部「脱北者支援センター」の金一雄代表や脱北同胞、支援者ら約40人が参加し、首脳会談が実現すれば、拉致問題のみならず、北送同胞らの原状復帰を議題にするよう求めた。
パネリストは法政大学の高柳俊男教授、著書『北朝鮮帰国事業‐「壮大な拉致」か「追放」か』で北送の実態を明かしたジャーナリストの菊池嘉晃氏、「守る会」の山田文明名誉代表、脱北者の石川学氏、東京地裁に「脱北者の損害賠償請求訴訟」を起こした白木敦士弁護士(原告代理人)の5人。
パネリストは「北韓当局も朝総連も北の経済状態が酷いことを知りながら、社会主義祖国建設に尽くそうと北に渡った在日同胞を騙した」「在日を厄介払いしたい日本政府と日本の差別状況に悲観した同胞の思いが北送で一致した。20世紀の日朝関係の矛盾が凝縮している」などと総括。「在日帰国者と日本人妻には関心が低い。首脳会談前に世論を喚起し、政治課題にしよう」と問題提起した。
会場からは「民団が反対しなければ、地獄を見た同胞は9万人では済まなかった。北送60年を前にそのことも踏まえるべきだ」との声があがった。
(2018.10.24 民団新聞)