掲載日 : [22-11-18] 照会数 : 1609
韓国人が日本で不動産を購入し、運用する場合の留意点は?
Q:韓国人が日本で不動産を購入し、運用する場合の留意点は?
長年日本で展開していた韓国本社の支社をこのほど閉鎖することになりましたが、支社勤務のため社員たちが使っていた専用の寮を、建物のオーナーが買い取らないかともちかけてきました。立地がよく比較的新しい建物で、この際、賃貸運営してはどうかという打診が本社からありました。韓国人が日本国内で不動産を購入し運用する場合の留意点を教えてください。
A:日本国内で不動産を売買により購入する場合、その所有権移転登記の申請に際し、登録免許税が固定資産税評価額の2%、不動産取得税が右評価額の3~4%(一定の住宅用不動産や時限措置などの軽減税率もあります)課税されます。また、所有している期間中は右評価額の1.7%の固定資産税および都市計画税(住宅軽減措置もあります)が、毎年課税されます。
これらの課税は、国籍や居住地・本店などのいかんを問わず、日本国内に不動産を所有する全ての個人・法人に同じように適用されます。
ただし、その不動産を他人に賃貸することにより賃貸収入(利益)が発生する、その売却に際し譲渡益が生じるなどの場合には、少し事情が変わってきます。一般的に、賃貸利益や売却益に対しては所得(法人)税および住民税が課税されるのですが、その所有者が非居住者(原則としてその国の国籍ではなく、日本に居住していない一定の者)や外国法人(本店が日本にない法人)の場合には、まず日本で課税(確定申告)されたのちに自国(韓国)において更に韓国内の所得と合算申告をし、先の日本における課税額を外国税額控除という方法で、二重課税にならないように清算することになります。
またとても重要なこととして、非居住者や外国法人に対して不動産の賃料や譲渡代金を支払う者(非事業者などの個人などを除く)は、その支払いに際し10.21%~20.42%の源泉徴収義務があるのですが、知らない方があまりにも多いようです。韓国人が日本で不動産を購入し、賃料を受け取る際、その20.42%が源泉という形で手元に残らないので資金繰りについての検討が必要です。また、支払う方も源泉を怠ると税務調査で不納付加算税というリスクを負わされます(不動産に関しては、日韓租税条約に「著作権使用料源泉の10%」のような税率軽減規定はありません)。
非居住者や外国法人が不動産を購入し運用する際は、借りる側も含め、くれぐれも注意が必要です。