掲載日 : [23-02-01] 照会数 : 1371
会社から退職を迫られたら辞めなくてはならない?
Q:会社から退職を迫られたら辞めなくてはならない?
私は現在、職場でセクシャルハラスメントを受けており、会社側から退職を迫られています。私自身は仕事を辞めるつもりはなく、会社側の要請に従う意志はありません。会社から一方的に退職を迫られた場合、私は仕事を辞めなければならないのでしょうか。また、仕事を辞めなくても良いのであれば、セクシャルハラスメントの解決に向けてどのような対応策を取れるでしょうか。
A:このようなケースでは、あなたが仕事を辞める必要はありません。労働基準法上、使用者(会社)が一方的に労働者を辞めさせることができるのは、「解雇」ができる場合に限られます。労働基準法上、解雇には普通解雇、整理解雇、懲戒解雇があります。
普通解雇は勤務成績が著しく悪く、指導を行っても改善の見込みがなかったり、健康上の理由で長期にわたり職場復帰が見込めなかったりと、労働契約の継続が困難な事情があるときに労働者を解雇することをいいます。懲戒解雇は、労働者が極めて悪質な規律違反や非行を行ったときに、懲戒処分として該当者を解雇することをいいます。整理解雇は会社の経営悪化による人員整理の必要性がある場合に、極めて厳格な要件のもとにのみ認められる解雇です。ご相談のケースは、あなた自身に問題があるわけではなく、むしろ会社の側に問題があるケースであり、上述の三つの解雇には当然該当しないでしょう。よって、会社側が一方的にあなたに退職を迫ることは法律上できません。
逆に、あなたがセクシャルハラスメントに対して会社側に適切な措置を求めても良いと思います。会社は、従業員がセクシャルハラスメントを受けたときに相談窓口を設置することが求められている(平成18年厚生労働省告示第615号)ので、窓口があれば相談をしてみると良いでしょう。窓口がない場合には、労働組合等を通じて、労働組合がなければ何人か同僚を集め、会社に対して窓口の設置ないしセクシャルハラスメントへの対応の申入れを行うことも可能です。
それにもかかわらず、会社が何らの対応もしてくれない場合には法的手段を取り、弁護士を通じて会社に対する警告文を送付することや、会社を相手として、セクシャルハラスメントや退職の強要により被った精神的損害に対する慰謝料請求を行う、あるいは雇用契約が有効であることの確認を求める裁判を起こすということも、取り得る策として考えられます。
また、セクハラをしている相手に対して、セクハラをやめるよう求めることも出来ます。それでもやめない場合には、弁護士を通じて相手方に警告文を送付することや、損害賠償請求をすることが考えられます。
加えて、セクハラの程度が大きい場合(例えば、体を触られる、したくないことを無理やりやらされる等)には、強要罪(刑法223条)や、強制わいせつ罪(同176条)にも当たり得ます。その場合には、すぐに警察に相談しましょう。