掲載日 : [23-02-01] 照会数 : 1761
相続手続に必要な書類について
Q:相続手続に必要な書類について
先日、在日韓国人であった母親が亡くなりました。それにあたって、母の財産相続の問題が生じたので、相続のための手続きを進めようとしています。ただ、私自身このような手続きを進めるのは初めてのことなので、相続関係を証明する書類がどのようなものになるのかがわかりません。私は具体的にどのような書類を集めて手続きを進めればよいのでしょうか。
A:今回のようなケースでは、亡くなった方の生前の国籍がポイントとなります。
亡くなった方に預貯金や不動産などの財産がある場合、これらの財産の取り分は、遺言がなければ法によって定められた取り分である法定相続分に従って決定されます。亡くなった方が帰化していた場合は日本国民法が適用され、韓国国籍のままであった場合には韓国民法が適用され、それぞれの民法に規定されている法定相続分の割合に応じて相続がされることになります(ただし亡くなった方が韓国国籍であったとしても、遺言のなかで準拠法が日本国民法に指定されていた場合は、日本国民法の適用を受けることになります)。
相続手続きに必要になる具体的な書類については、亡くなった方が帰化していた場合、相続関係を証明するためには、日本の戸籍謄本を集める必要があります。この場合、基本的に必要な手続きは日本での一般的なものと変わりが無いので、ここでの詳しい説明は省略いたします。
しかし、韓国籍の在日韓国人が亡くなった場合には、日本に戸籍はありませんから、韓国の除籍謄本と韓国の家族関係証明書を取得する必要があります。以前は韓国にも戸籍法があり戸籍制度がありましたが、2008年に「家族関係登録等に関する法律」が施行され、戸籍制度は廃止されました。これまでの戸籍謄本はすべて「除籍謄本」となりましたが、相続関係を証明するためにこれを取得する必要があります。また、家族関係登録制度における登録事項別証明書は、基本証明書、婚姻関係証明書、家族関係証明書、養子縁組関係証明書、親養子縁組関係証明書の5種類ありますので、事案に応じて必要な各証明書を取得する必要があります。
*家族関係登録事項別証明書には「一般」「詳細」の区別がありますが、相続手続きで使用するものは「詳細」を取得してください。除籍謄本も、家族関係登録制度の登録事項別証明書も、最寄りの領事館にて取り寄せることができます。