掲載日 : [23-02-01] 照会数 : 1158
別居中の相手と離婚したいが住所がわからない
Q:別居中の相手と離婚したいが住所がわからない
私たちは日本に住む韓国国籍の夫婦ですが、事情があり長い間別居していました。最近になって、自分の人生をやり直すためにも離婚したいと思いはじめたのですが、相手が所在不明になっていることがわかりました。この場合、どのような手続をとれば離婚できるのでしょうか。また、その手続は日本で行うことが可能なのでしょうか。
A:相手方が所在不明であることから、裁判手続が必要になりますが、単純に日本法によれば良いということにはならないのではとの質問かと思います。
先ず考えられるのが、失踪宣告を求めることです。日本の国際私法である法の適用に関する通則法(以下「通則法」という。)第6条には、不在者一般を対象とした原則的な国際管轄権と準拠法に関する規定があります。そして、同条第1項で本国管轄と住所地国管轄の双方が認められております。
しかし、同条の規定は死亡の推定または擬制という失踪宣告の直接的効果を生じさせることにとどまり、相続の開始や婚姻の解消といった間接的効果には及ばないと解されております。
離婚に関する直接的規定は、通則法第27条に規定されており、同条が同第25条(婚姻の効力)を準用しておりますので、ご質問の場合は韓国法によることになります。
韓国法の適用を受けることから、原則は韓国の家庭法院に離婚裁判の管轄権が有りますが、手続に関しては法廷地(日本)法によることもできますので、訴訟費用等を考慮すれば日本の家庭裁判所に離婚の裁判を求めた方が良いでしょう。
この場合、相手が所在不明でも生存していることが判明していれば、悪意の遺棄として韓国民法第840条第2号の問題になり、相手の生死が3年以上不明であれば同条第5号が問題になります。
離婚の裁判は調停前置が原則ですが、相手方が所在不明で生存しているかどうかも不明であれば、公示送達から欠席判決という流れになり、裁判確定後1ヶ月以内に裁判書謄本と確定証明書及び韓国語の訳文を添付し、駐日公館(大使館領事部または総領事館)に離婚申告をすることになります。勿論、登録基準地の市・邑・面役場に直接申告することもできます。
なお、上記通則法第6条の失踪宣告の場合と異なり、当該離婚の効力は、その後に相手方が出てきた場合でもその効力は覆りません。