掲載日 : [23-02-01] 照会数 : 1108
離婚後の生活費や養育費について
Q:離婚後の生活費や養育費について
私は日本人の女性です。日本で韓国人の男性と正式に婚姻関係を結んだあと出産し、現在9才になる子供がいます。ある日とつぜん、夫が勝手に一人で韓国へ帰国してしまい、今では離婚を考えています。もし夫と離婚した場合、私たち日本人親子は元夫から生活費や養育費をもらうことができるのでしょうか。また、離婚をするのとしないのとで、受け取る金額に差は生じるのでしょうか。
A:日本で韓国人男性と結婚生活をしていた場合は、法の適用に関する通則法により婚姻及び離婚に関する法律は日本法が適用されます。日本法では、ご相談のように夫が勝手に韓国に帰って別居となった場合でも区別なく、ご相談のような金員の支払いを請求できます。
もっとも、具体的な金額については離婚の前後で扱いが異なり、離婚前については、夫は、妻及び子の生活のための費用(婚姻費用といいます)を妻に対して支払う義務があります。その金額については、夫婦双方が協議して決めるのが原則で、協議が成立しない場合、申立により裁判所が定めます。その際、双方の収入を基礎として一定の計算方法で算出した金額を支払うように命じますが、最近は、裁判官らのグループが公表したいわゆる「算定表」に基づき微調整を加えるなどして決定されています。この算定表は裁判所のHPで閲覧可能です。妻に独自の所得がない場合には、金額的にはかなり低いのが実情です。
離婚後については、原則として元夫は元妻に対して生活の面倒を見る義務がなくなり、子どもが成人するまでの間、その生活費を養育費という名目で支払う義務があります(実際には、子どもが大学に進学する場合には、20歳を超えて大学卒業までとすることがよくあります。また、妻が婚姻時に働いていなかった場合は、離婚後も経済的自立ができると見込まれる一定期間、妻の生活費を支払わせることがあります)。したがって、離婚後の場合、夫からの支払額は離婚前の場合と比べ、妻の生活費分少なくなります。金額は離婚時に夫婦双方が協議して決めるのが原則ですが、協議が成立しない場合は、同様に裁判所が定めます。この場合も原則として前記の算定表を使用しますが、子が私学に通学するなど特別な費用がかかる場合などはそれなりに養育費の増額事由として考慮されています。
注意しなければならないのは、申立によって婚姻費用や養育費の具体的支払義務が成立すると考えられていることであり、申立以前の未払い分について裁判所は基本的に認めてくれないので、早めに申立てする必要があります。また、将来の分を一括して前払いすることも基本的には認められておらず、毎月の支払となります。