Q:「在日韓国人である金(キム)さんは、お父さんから韓国にある財産の贈与を受けました。贈与税は韓国と日本でそれぞれ払わなければならないでしょうか。贈与税の計算について教えてください。」
A:贈与税は原則的に日本も韓国も財産を貰った人(受贈者)に納税義務があります。但し、受贈者が居住者に該当するか非居住者に該当するか、贈与財産が国内財産もしくは国外財産によって課税の範囲や納税義務者も異なります。
金さんのように日本に居住する在日韓国人が韓国財産を贈与で受けた場合は、韓国では非居住者に該当しますので韓国財産に対してのみ贈与税を納める義務があります。また、日本では居住者に該当しますので全世界財産に対して贈与税を納める義務があります。
つまり、金さんは日本と韓国の両国で贈与税の納税義務があります。課税の範囲の違いにより生ずる二重課税を防止するために、相続税と同じく贈与税にも外国税額控除の規定が設けられています。それでは、具体的な贈与税の計算を確認してみましょう。
日本の贈与税は超過累進税率によって課税されます。税率は以下の通りです。財産の価格から基礎控除(110万円)を引いた金額に税率を乗じてそこから控除額を引いた金額が納付すべき贈与税額になります。
基礎控除後の課税価格 |
200万円
以下 |
300万円
以下 |
400万円
以下 |
600万円
以下 |
1,000万円
以下 |
1,500万円
以下 |
3,000万円
以下 |
3,000万円
超 |
税 率 |
10% |
15% |
20% |
30% |
40% |
45% |
50% |
55% |
控除額 |
‐ |
10万円 |
25万円 |
65万円 |
125万円 |
175万円 |
250万円 |
400万円 |
(国税庁HPより引用)
例えば財産の価格が1千万円だとすると、基礎控除額を差し引いた後の890万円に40%を乗じ、125万円を控除した231万円が贈与税額です。ここから韓国で納付した贈与税を控除しますが、お父さんからもらった財産が韓国にあるのみであれば、贈与税額から韓国で納めた税額全額を差し引いて納付することになります。