掲載日 : [2022-12-07] 照会数 : 3706
民団東京、「歴史探訪」関東大震災跡地など
[ 関東大震災殉難同胞追悼碑前で黙とうする民団関係者ら(東京・墨田区) ]
在日の100年 追体験
在日同胞の足跡をたどり、その苦難の生活史を追体験する「歴史探訪」が11月17日、東京都内で行われた。民団東京本部(李壽源団長)が企画した。今回で3回目。
2・8宣言学ぶ
在日韓国YMCA
スタート地点で「2・8独立宣言」の地である千代田区の在日本韓国YMCA会館には東京管下の支部・傘下団体幹部など約50人が参集。駐日韓国大使館から裵京澤総領事と李相喜領事課長、在外同胞財団から金采映駐在官が加わった。
李団長は「在日同胞の歴史は100年を超える。同胞の歴史を次世代に引き継ぎ、東京都民の1人として韓日友好親善の一つのきっかけにしたい」と語った。鄭浩上事務副局長(総務兼生活部長)が「2・8独立宣言」について説明、鄭文吉事務局長からは「東京在日同胞の歴史」についての事前講義が行われた。
関東大震災
虐殺同胞を追悼
一行はバスに乗り込み、墨田区八広の旧四ツ木橋下手・荒川河川敷を訪れた。ここは1923年の関東大震災時に在日同胞が虐殺、埋葬された場所だ。現場近くに建つ「関東大震災時韓国・朝鮮人殉難者追悼之碑」では李団長と裵総領事が代表して献花を行い、全員で黙とうを捧げた。さらに、都立横網町公園にある「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」も訪れ、震災の火災旋風によって命を奪われた犠牲者を偲んだ。
強制移住の現場
枝川・塩浜地区
この後、1940年に開催される予定だった東京オリンピックを前に、市当局が開催予定地でバラックを建てて居住していた在日同胞を景観の理由から当時、未開発・未整備だった最果ての埋立地に強制移住させたことを起源とする枝川・塩浜地区(旧塩崎)を見学した。戦争によりオリンピックは中止となったものの、撤去作業だけは決行されたのだ。移転は陸の孤島への「収容」といわれたほど。
このほか、江戸幕府が1710年、朝鮮通信使を迎えるにあたり汐留川にかかる新橋(あらたばし)に造営した芝口御門跡や在日本朝鮮居留民団結成大会が開かれた日比谷公会堂、「新宿コリアタウン」ロッテ創業工場跡地を訪れた。
歴史探訪すべてに参加してきたという支部役員は「毎回新しい史実などを知れ楽しい」と語った。なかには「支部で行う歴史探訪の参考にする」という声も。東京本部では「東京在日韓国人の足跡」という冊子を編集・制作して配布している
(2022.12.07民団新聞)