韓国戦争後、海外養子としてベルギーに移住した体験を描いた、ユングさん(バンド・デシネ作家、イラストレーター)による『はちみつ色のユン』原作コミックの日本語版がこのほど、DU BOOKSから刊行された。
『はちみつ色…』は映画化もされ、第17回文化庁メディア芸術祭(日本)のアニメーション部門で大賞を受賞した。
ソウルの街をさまよっていたところを警察に保護された少年ユンは、孤児院を経て、5歳でベルギーの大家族に養子として迎えられた。両親からは厳しくも愛のある教育を受ける一方、ユンは未だ見ぬ産みの母への淡い思いを抱きはじめる。自分はどこから来たのか、いったい何者なのか‐。押しつぶされそうな思いから救ったのが絵を描くことだった。「絵を描き想像の世界で辛い現実を忘れた」
本書では、幸せをつかんだ養子も大勢いる一方、アイデンティティーの問題や自分の居場所を見つけられず、自殺に至るまでの悲しい現実も紹介している。映画撮影のため、40年振りに韓国に帰郷した。さまざまな葛藤を乗りこえて、少しずつ進んでいくことを決意したユングさんの運命はあまりにも数奇だ。
定価2800円+税。
問い合わせはDU BOOKS(03・3511・9970)。
(2015.2.4 民団新聞)