差別・排外主義集団の無分別な路上デモに「NO!」を叫び、敢然と立ち向かう市民を取材したドキュメンタリー映画「レイシスト・カウンター」(わたなべりんたろう監督)が完成した。ともすると、「どっちもどっち」、「あちらが暴力なら、こちらも暴力」と誤解されがちなカウンターの等身大の姿を、当事者へのインタビューで浮き彫りにした。
4月4日公開 東京・渋谷アップリンク
わたなべ監督が関東と関西地域のカウンター現場で出会った代表的な20人にインタビューした映像による証言集だが、ジャーナリスティックでメリハリのきいた構成。スピード感もあり、観客を飽きさせない。重たいテーマにもかかわらず、最後は観客が前向きな気持ちになれるよう工夫している。
排外主義デモに体を張って対峙するカウンターが登場するのは13年2月のこと。「レイシストをしばき隊」(通称しばき隊、現在のc・r・a・cの前身)がその最初。わたなべ監督も間もなくカウンターとして参加。路上カウンターに会って取材を試みた。
すると、多種多様な人たちが、さまざまな立場から人種差別的な排外主義に怒りの声をあげていたことがわかった。わたなべ監督はカウンターの存在を映像に集約し、日本全国に発信していこうと決意した。当時、カウンターに関心を寄せる映像メディアがなかったことも、わたなべ監督を後押しした。
映像に収めたのは、排外主義集団とカウンター側が熾烈な攻防を繰り広げた14年春ごろが中心。全国上映のための配給宣伝費用はネットで寄付を呼びかけた。短期間のうちに合わせて163人から目標とする150万円近くが集まった。この多くは2000円から1万円どまり。応援金額に応じて映画鑑賞券や試写会への招待を特典とした。例外的に一人だけ30万円の寄付者もいた。わたなべ監督は名前の表記からして「在日の方」と推定している。映画のエンドクレジットに「特別プロデューサー」として記載されるという。
4月4日から東京・渋谷区宇田川町の渋谷アップリンクで2週間上映。この後、全国各地で草の根上映をめざしていく。引き続き、海外上映のための英語字幕費用も募っている。
カンパや上映の問い合わせはrintarouwatanabe@gmail.com
(2015.1.28 民団新聞)