国連北韓人権調査委員会(COI)が8月29、30の2日間、東京・青山の国連大学で公聴会を実施した。北韓による人権侵害の実態について幅広く証言を収集するのが目的。調査委員会は今年3月、国連人権理事会が新設したもの。
調査委員会はマイケル・カービー委員長(元オーストラリア最高裁判事)を筆頭に3人で構成。初日は日本政府認定の拉致被害者家族から、2日目は北韓から脱出した元在日同胞と日本人妻らの証言を聞いた。このほか、北韓強制収容所問題についても情報収集を行った。
公聴会が一段落するとカービー委員長は、「拉致被害者に寄せる関心に比べて、日本人が(北韓からの)帰還者に対してそれほど心配していないのはなぜか。自分たちの意思で北にわたったからなのか。それともあまりに古い事件だからか」と再三にわたって首をひねる場面が見られた。
これに対して、「北朝鮮強制収容所をなくすアクションの会」の宋允福事務局長は、「北送がどのような時代背景で行われたのかが理解できていないためだ」との見解を述べた。
カービー委員長によれば、北韓人権調査委員会は日本での公聴会に先だち、韓国でも50人余りの証人と会ったという。COIは今後、台湾、英国、米国でも聞き取り調査を行い、来年3月の人権理事会に調査報告書を提出する。
(2013.9.11 民団新聞)