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掲載日 : [21-02-18]   照会数 : 3033

韓国保有財産から借金の回収方法は…韓国の裁判所に提訴

Q

 一昨年、大阪の友人に1カ月後に返す約束で1000万円を貸しました。ところが、その後、友人は再三の催促にも関わらず、全く返済をしてくれませんでした。

 私はやむを得ず、弁護士の先生に裁判を依頼して問題なく勝訴し、判決も確定しました。しかしながら、友人には所有する財産も特になかったため、現在まで1円も回収できないままでいます。

 最近、別の知人から、友人が「韓国で事業をしていて儲かっているらしい。現地の銀行に多く溜め込んでいるみたいだよ」との話を耳にしました。

 日本で得た判決を基に、友人が韓国で保有している銀行預金等の財産等を差押えること等はできないのでしょうか。
 

A

 ◆外国判決の承認
 日本で被告の原告に対する金銭の支払を命じる内容の確定判決は、日本国内でしか効力がないのが原則です。

 しかしながら、韓国には「外国判決の承認」と呼ばれる規定があります。

 この「外国判決の承認」の規定は、本来、外国での判決がその外国の中でしか効力がないものを一定の要件を満たすことで、自国の国内の判決と同様の効力を持たせるものです。

 ◆強制執行手続が可能
 御質問のケースでは、既に日本で友人に対する裁判で勝訴し、友人があなたに1000万円を支払えという内容で判決も確定しているということですから、この「外国判決の承認」の規定の要件を満たせば、日本で得た判決を韓国国内の裁判で得た判決と同様に利用することができるようになります。

 具体的には、日本の判決について、韓国国内の裁判所で「外国判決の承認」の訴えを提起し、勝訴判決を得ることによって、あなたは友人所有の韓国国内の銀行預金や不動産等の財産に関し、差押や競売等の強制執行手続ができるようになるのです。

 筆者がこれまでに経験したケースでも、債務者側は、債権者がまさか韓国まで追いかけてくるとは思ってなかったようで、問題なく、貸金全額を強制執行手続により回収することができました。

 ◆韓国の判決を日本でも
 日本にも韓国と同様に「外国判決の承認」の規定があります。

 したがって、御質問のケースとは逆に、相談者が韓国の知人に1000万円を貸して、韓国で裁判を起こして勝訴し確定したような場合でも、この「外国判決の承認」の手続を使って、日本で利用することができるようになるわけです。

 具体的には、韓国で先に得た確定判決について、日本の裁判所に「外国判決の承認」の訴えを提起して、勝訴判決を得ることができれば、日本国内の財産に関して、差押や競売等の強制執行手続が可能になるわけです。
金弘智(東京弁護士会所属弁護士)

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