掲載日 : [21-08-25] 照会数 : 4204
国籍が違う夫婦の離婚…どちらの法に拠るか注意を
Q
私は結婚して2人の子どもがいますが、離婚を考えています。結婚相手は日本国籍ですが、私の国籍は韓国です。結婚の手続自体は、日本でも韓国でもしていますが、結婚してからの生活はずっと日本でしていて、子どもも日本の小学校と中学校に通っています。
離婚についての話合いがまとまらない場合、どちらの裁判所で、どちらの国の法律で解決することになるのでしょうか。
A
◆どちらの裁判所か
双方の国籍が異なる場合、どちらの国の裁判所で離婚の解決をすればいいのでしょうか。この点について、日本では家事事件手続法や人事訴訟法という法律で日本の裁判所を使うことができるかどうかを定めています。
これらの法律によれば、結婚相手の住んでいる場所が日本国内であるか、既に別居している場合、最後に同居していたときの住所が日本国内であれば、日本の裁判所を使うことができるとされています。
◆どちらの法で扱うか
日本の裁判所で解決することになったとしても、どちらの国の法律を使うかは別問題です。日本の裁判所で、外国の法律を使って解決することもあり得るのです。
どちらの国の法律を使うかは、問題となっている事柄によって決め方が異なりますが、離婚の場合は、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であれば、日本の法律を使うこととされています。常居所というのは、普段住んでいるところ、というくらいの意味で捉えてください。
ここまでくれば、離婚に関わる問題はすべて日本の法律で解決することになる、と考えるかもしれません。しかし、離婚で問題になるテーマは、離婚そのものだけではなく、親権、面会交流、婚姻費用や養育費、財産分与、慰謝料と、実に様々です。そして、実はどちらの裁判所を使うかや、どちらの国の法律で解決するかは、テーマごとに別々に決められているのです。
◆親権はどうなる?
特に落とし穴になりかねないのが、親権や面会交流といった、子どもに関するテーマを、どちらの法律で解決するかです。
日本の法律では、子どもに関するテーマは、子どもの国籍がある国の法律で解決すると定めています。
国際結婚の場合、未成年の子どもは通常二重国籍ですよね。この場合は、二重国籍の片方が日本国籍であれば、日本の法律で解決することになっています。
ただ、稀に二重国籍ではなく、日本ではない国の国籍しか有していないような場合もあります。この場合、夫婦の離婚については日本の法律で解決するのに、親権や面会交流については日本以外の国の法律で解決するということになります。
国際結婚で離婚する場合、裁判になればどの国の法律で解決するのかは事前にしっかり把握しておきたいですね。
弁護士 成眞海